研究課題/領域番号 |
15H03021
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 雅哉 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (10332735)
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研究分担者 |
吉本 敬太郎 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60392172)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 再生医療 / 生体材料 / 分析科学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、骨軟骨再生技術とラマンプロファイリング技術とを開発し、次世代骨軟骨再生技術へと繋げることである。このため、本研究では、①細胞集合体を利用した骨軟骨再生技術の開発、②再生骨軟骨組織に対するラマンプロファイリング技術の開発、ならびに③ラマンプロファイリングに基づく骨軟骨再生技術の最適化について検討する。 平成27年度では、マイクロチップを用いた細胞集合体の作製、細胞集合体の骨軟骨分化培養、細胞集合体に対するラマン測定を実施した。ラマンプロファイリングについては、平成28年度においても継続して検討を行う。一方、骨分化を制御するための細胞足場材料についても検討を行った。この結果、細胞足場材料の硬さや表面に固定化する生理活性分子によって間葉系幹細胞の骨分化が変化することがわかった。 一方、再生骨軟骨組織に対するラマンプロファイリングのリファレンスとなる正常、軟骨組織に対するラマン測定を行った。すなわち、ウサギから耳介軟骨、肋軟骨、および関節軟骨を採取し、それらの凍結切片に対するラマン測定を行った。また、軟骨に特徴的な細胞外基質として、Ⅱ型コラーゲン、アグリカン、ヒアルロン酸などの物質に対するラマン測定を同様に行った。その結果、採取部位によって、異なるラマンスペクトルを得た。軟骨は部位特異的に、弾性軟骨、線維軟骨、硝子軟骨があり、それぞれに含まれる細胞外基質の成分が異なっている。これらの知見を踏まえ、現在、得られたラマンスペクトルに基づいて、軟骨の種類をラマンプロファイリングにより識別することが可能かどうかについて検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞集合体を利用した骨軟骨再生については、マイクロチップを用いて間葉系幹細胞からなる細胞集合体を作製し、骨軟骨分化培養する技術を確立した。また、得られた細胞集合体に対するラマン測定も可能となっている。このため、再生骨軟骨組織に対するラマンプロファイリングを検討する準備が整っている。さらに、ウサギから採取した異なる特徴をもつ軟骨組織に対するラマン測定を行い、その構成成分である細胞外基質とのスペクトルの比較についても検討を進めている。現状では、ラマンプロファイリングを行うために必要となる実験系が確立されつつある。一方、得られた細胞集合体を動物体内へ埋入し、それらから再生骨軟骨を得る実験系を確立する点が少し遅れているが、この点については、これまでの動物実験に対する研究実績で解決できると考えられる。以上のことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、骨軟骨再生技術の開発と再生骨軟骨組織に対するラマンプロファイリング技術の開発である。当初、様々な骨軟骨再生技術を検討する計画を立案した。しかし、平成27年度の研究成果を踏まえ、マイクロチップを利用した細胞集合体作製技術、細胞増殖因子の徐放化技術と細胞集合体とを組み合わせた骨軟骨再生技術、ならびに、得られた再生骨軟骨組織に対するラマンプロファイリングに研究対象を集中させた方が、より効率よく目的が達成できると考えられる。このため、今後の研究の推進方策として、これらの課題を中心に研究を推進することによって、目的とする研究成果が得られるように研究を進めていく。
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