本研究の目的は、骨軟骨再生技術とラマンプロファイリング技術とを開発し、次世代骨軟骨再生技術へと繋げることである。このため、本研究では、①細胞集合体を利用した骨軟骨再生技術の開発、②再生骨軟骨組織に対するラマンプロファイリング技術の開発、ならびに③ラマンプロファイリングに基づく骨軟骨再生技術の最適化について検討する。 平成29年度では、平成28年度に行ったマイクロプレートを用いた間葉系幹細胞からなる細胞集合体について評価を行ったが、予想に反して、骨軟骨組織を得ることができなかった。そこで、近年、軟骨再生医療として、臨床応用が進められているiPS細胞由来の軟骨細胞塊を用いて、軟骨細胞塊に対するラマンプロファイリングについて検討した。その結果、得られた軟骨細胞塊について、培養しながらラマン測定ができることがわかった。一方、近年、再生医療において、臨床応用が検討されている技術の一つとして、脱細胞化足場材料がある。そこで、平成29年度では、脱細胞化軟骨組織に対するラマンプロファイリングを行い、脱細胞化による細胞外マトリックスの変化についても検討した。その結果、脱細胞化前後の軟骨組織を判別することができた。一方、脱細胞化により消失した細胞外マトリックス分子の判別については、さらなる検討が必要であることがわかった。 最後に、平成28年度に行った、軟骨部位特異的な判別結果に基づいて、多変量解析の結果を精査したところ、コンドロイチン硫酸が判別に関与していることを示唆する結果が得られた。
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