再生医工学にヒトiPS細胞を活用する上での重要な課題の一つに、ハイドロゲル等の弾性基材におけるiPS細胞の維持・増殖培養技術の確立があげられる。本研究では、独自に開発したハイドロゲルの弾性マイクロパターニング技術に基づきiPS細胞の品質保持・安定増殖のための基材力学場条件を検証したところ、iPS細胞の維持・増殖に至適な基材弾性率条件が存在するとともに、iPS細胞は自発的にその至適弾性領域を指向して移動して、そこでコロニーを形成しつつ未分化性マーカーの発現を最大化することを見出した。これらの知見は、iPS細胞の維持・増殖培養のための弾性基材設計の重要な方針を与えるものと期待される。
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