研究課題/領域番号 |
15H03033
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西田 康太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00379372)
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研究分担者 |
高田 徹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (00598526)
前野 耕一郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70403269)
角谷 賢一朗 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10533739)
由留部 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (10514648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 椎間板変性 / 遺伝子治療 / 腰部脊柱管狭窄症 / 低侵襲治療 / mTOR経路 / Raptor / RNA干渉 |
研究実績の概要 |
①椎間板変性研究全般:本研究のH27年度の目的は、バイオロジカルアプローチに適した椎間板再生椎間板変性モデルの作成と、変性の鍵になる遺伝子を特定し、これをRNA干渉によりノックダウンすることで椎間板変性の抑制あるいは再生することである。 1)椎間板変性モデルに関してはほぼ安定して再現が可能なモデルが完成したといって良い。 2)椎間板変性のkey遺伝子としてMMP-3を最有力候補としてあげていたが、もっと上流での遺伝子発現をターゲットとすべく、The mammalian target of rapamycin (mTOR)シグナル経路に着目した研究を開始した。mTOR経路は細胞の成長と恒常性維持に重要であることが知られ、mTORはRaptorと複合したmTORC1とRictorと複合したmTORC2を形成する。mTORC1はAktに制御を受け、蛋白合成に関わるp70/S6Kを調節し、細胞自食機構オートファジーを抑制する。椎間板髄核細胞株を用いたRNA干渉法によるmTORシグナル経路解析を施行した結果、Raptor干渉群ではAktを活性化しつつ、mTORC1関連経路のみを抑制できた。Raptorを介した選択的なmTOR経路の抑制は、抗老化、MMP-3の抑制をはじめとしたより広い範囲の基質分解抑止効果に加え、細胞生存に関わるAktの活性化を介して細胞死も抑制できる可能性が示唆された。したがって、今後の椎間板治療のターゲットとしてRaptorを使用予定とする。 ②腰部脊柱管狭窄症に対する棘突起間スペーサーの開発:本研究のH27年度の目的は、棘突起と周辺機器を改良することであった。スペーサーは棘突起間に挿入するスクリュー形状部分に2重螺旋構造を取り入れ、ネジ山の形状改良を加えた。透視下での可視化のためにマーカーを改善し、周辺機器も種々の改良を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①椎間板変性モデルに関しては概ね順調 ②椎間板変性に関するKey遺伝子に関しては、基質分解の抑制みに頼るのではなく、より包括的な再生あるいは変性の抑制を目指して、新たなターゲット遺伝子の検討を要した。したがって、新たな実験を追加したため、遅れを生じた。しかし、結果的にはより良いターゲット遺伝子として、mTOR経路におけるRaptorを候補として選択することができた。 ③椎間板ヘルニアに関する新治療に関しては他実験等で時間と予算が確保できず、あまり進捗していない。 ④腰部脊柱管狭窄症に対する最小侵襲治療としての棘突起間スペーサーに関しては、スペーサー自身にいくつかの問題点が確認されたため、それを補うべくさらに大幅な改良を加え、周辺機器への改良や追加も施工した。企業とのやりとり等で時間を要したが、概ね予定通り。
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今後の研究の推進方策 |
①椎間板変性プロジェクト全般として、Raptorに対するin vivoRNA干渉により椎間板変性が抑制可能かどうかを評価する実験に着手する。椎間板変性モデルに関してはこれまでに私共で作成したものを使用予定である。遺伝子の導入に関しては、より良い効率と安全性が期待できる方法を我々の過去の報告も含めて検討中である。 ②腰部脊柱管狭窄に対する最小侵襲治療としての棘突起間スペーサーに関しては企業とのスペーサー並びに周辺機器の完成に向けて協議をすすめ、作成中である。ブタを用いた追加実験を予定している。場合によってはさらに改良を要す見込みである。 チーム編成として大きな変更予定はない。
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