研究課題/領域番号 |
15H03033
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西田 康太郎 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (00379372)
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研究分担者 |
高田 徹 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00598526)
由留部 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10514648)
角谷 賢一朗 神戸大学, 医学研究科, 助教 (10533739)
前野 耕一郎 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70403269)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 棘突起間スペーサー / 椎間板変性 / 腰痛 / 遺伝子治療 / 低侵襲治療 |
研究実績の概要 |
1)椎間板研究1 私共が開発したin vitroにおいて椎間板に動的圧迫力を負荷する器官培養モデルを用いた研究を施行した。動的負荷を加えたものと、加えないものを比較検討し、動的負荷により椎間板基質代謝の異化が亢進し変性が誘導されていた。椎間板の恒常性に必須といわれる脊索細胞由来椎間板細胞は、動的負荷によりそのマーカー陽性細胞が著減していることが判明した。 2)椎間板研究2 手術にて採取したヒト椎間板髄核細胞を用いたin vitro実験を遂行した。無血管組織である椎間板においてはその恒常性維持のためにオートファジーが重要であることが示唆された。RNA干渉法を用いたオートファジー阻害実験を施行した。オートファジー必須因子であるATG-5のRNA干渉により髄核細胞生存率の低下と細胞死/老化の増大を認めた一方で、細胞外基質代謝への影響は少なく、椎間板の恒常性維持にオートファジーが重要であることが示唆された。これらの成果を学会にて報告した。 3)棘突起間スペーサーの開発 引き続き低侵襲かつ簡便に目的とする棘突起間にスペーサーを留置するためにスペーサーの改良を行った。スペーサー導入部の形状を工夫することでより短時間に少ない手順でのスペーサーの留置が可能になったことが大型動物実験により確認された。その一方、体内留置時にスペーサーの脱転例が生じることが判明し、その対策がさらに必要となった(後述)。上記の成果をもとに国際特許出願を行った(PCT/JP2018/013602)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
棘突起間スペーサーの開発が思うように進捗せず、全体としての計画進行に遅れが生じている。 低侵襲かつ簡便に目的とする棘突起間へスペーサーを挿入するために、スペーサーと周辺機器の開発と改良を引き続き行っている。スペーサーの改良を行い動物実験を施行した。その結果、好ましい効果を認めた一方で上記のような予想外の有害事象が出現したために、さらなる改良の必要性が生じた。動物実験そのものの追加実験も必要となったために追加予算が必要となり、それ以外の実験予算が削られる形となった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度予算は当初から限られているため、棘突起間スペーサーの開発と周辺機器の改良に時間と予算を大きく配分する。小動物を用いた椎間板研究に関しては、予算の許す範囲で可能な限り遂行する。 1)椎間板研究 ラット尾椎を用いた椎間板変性モデルを複数有しているが、in vivoでの変性椎間板に対する効果が確認できていない。本年度は、in vivoモデルを用いて薬剤の投与やsiRNAを用いた遺伝子導入によりn vivoでの椎間板変性に対する効果を確認する。候補としてはオートファジー必須因子であるATG-5、あるいはアポトーシス、細胞老化、基質分解を抑制するmTORC1/RAPTORを予定している。 2)棘突起間スペーサーと周辺機器の開発/改良 引き続き上記を行う。スペーサーの挿入は非常に簡便かつ短時間で施行できるようになったが、脱転防止のためにデザインのさらなる改良を予定している。さらに周辺機器の改良も引き続き行う。予算が許せば大型動物実験も施行する。
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