近年のブレインマシンインタフェース(BMI)関連研究によって、生体の神経系と外部機器を接続したり、電気刺激等によってフィードバックを行うと、脳の様々なレベルで可塑的な変化が生じることが示されつつある。本研究はこれについて申請者が開発中の(A)超多点BMIシステム及び(B)多機能神経電極などの技術を統合させた実験システムを構築して、神経系の可塑的変化の特性や限界を解明し、さらにこうした可塑的変化の制御・誘導を図ることを目的として行った。提案手法はBMIやリハビリといった医療分野における意義に留まらず、脳科学のツールとしても大きな意義を有すると考えられる。 上述の目的を達成するため、研究課題を実施し、下記の成果を得た。なお本研究における動物実験は、大阪大学生命科学研究科の承認のもと、大阪大学にて実施された。 (1)実験用統合システムの構築と評価: パリレンC(ポリクロロパラキシリレン)を基板とした高密度柔軟電極を試作し、体性感覚誘発電位による評価を行った結果、マッピング用およびBMIデコーディングなどの用途による多点高密度電極の設計指針を得た。 (2)多点柔軟神経電極を利用した可塑特性解明実験 トレーニングを行ったラットをBMI環境に置いて外部デバイス(皮質脳波ハイガンマ信号によって制御される給水装置)を制御させ、各種条件下において神経系の可塑的変化特性を調べた結果、BMI接続によりハイガンマ帯域の信号などに変化がみられることが観察された。
|