研究課題/領域番号 |
15H03058
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
諸麥 俊司 中央大学, 理工学部, 准教授 (70346930)
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研究分担者 |
東 登志夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40244090)
和田 太 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10341512)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 指運動機能 / ロボット |
研究実績の概要 |
本年度の研究の実績は以下のとおりである。 (1)実験用パワーグローブ一式の製作と動作確認の完了:昨年度にロボットリハビリに関する研究で経験豊富な研究分担者を新たに迎え、加わった新しい知見に基づいて、本研究で実現を目指すリハビリプログラムの内容と開発する機器の仕様の変更を行なった。それに伴い、装置の設計を変更し、新仕様の装置の製作を行なった。コントローラには10個のDCモータを配し、それを用いて装具部では拇指の屈伸、内外転、対立位とその解除、示指の屈伸、中指、薬指、小指の3指を同期させての屈伸、の合計5自由度を実現した。新設計の装置一式が完成し、動作確認まで完了した。 (2)パワーグローブを用いたリハビリテーションプログラムの設計:確定したパワーグローブの詳細機能に基づき、臨床評価試験を担当する医学研究者らとともに、パワーグローブを活用した上肢リハビリプログラムの具体案を作成した。リハビリプログラムは上肢機能のレベル別に5つのコースを設定し、各コースの訓練項目の構成と各詳細を決定した。 (3)効果検証試験の実施計画作成:効果検証試験の実施方法、評価方法、スケジュール等を含めた具体的な実施計画を作成した。各協力医療機関での被験者数や割り付け方法の決定、実施工程の作成、実施協力者の手配、スケジュールの作成、インフォームドコンセントに必要な書類作成、データ管理方法の確認等を行なった。評価の際の身体状況や運動機能の測定方法、時期、具体的項目、用いる評価指標を定めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、医学系研究者一名を研究分担者に新たに向かえ、研究体制の更なる充実を図った。新加入の分担者の意見を踏まえ、より優れたリハビリプログラムおよびリハビリ機器を実現すべく、研究計画の見直しを行い、開発する装置の設計も変更した。それに伴い、実験用装置製作とそれを活用したリハビリプログラムの作成が申請当初の計画より後倒しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下のように研究を推進する。 (1)臨床評価用グローブシステムの複製 評価試験に用いるグローブシステムは一式が本年度完成し、動作確認まで終了した。複数機関での臨床評価を可能とするために、これの複製に取り組み、6月までに完成させる。 (2)臨床評価試験の実施 7月に臨床評価試験を開始する。研究全体の遅れを取り戻すべく、評価試験の実施計画を見直して効率化を図り、研究期間終了までの目標達成を目指す。臨床評価試験は都内および九州地区の協力医療機関にて以下の要領で実施する予定である。 リハビリ訓練の基本内容:脳卒中片麻痺患者の麻痺側の肩、上腕、前腕、手関節部は従来の作業療法による訓練プログラムを行い、手、手指に関連してグローブによる訓練を行う。手、手指の麻痺の程度に合わせた訓練プログラムを用意する。対象:脳卒中片麻痺患者20名程度。年齢50-89歳の男女とする。上肢機能はBrunnstrom recovery stage Ⅰ~Ⅵを想定する。効果の評価:開始時と終了時の身体状況と運動機能を測定。身体状況は関節可動域,修正Ashworth尺度、脳卒中インパクト尺度(stroke impact scale)等を含む。運動機能は Fugl-Meyer評価(上肢機能)、Wolf運動機能検査、STEFやペグテストなどで測定する。解析:アウトカムは,介入前後における両群の変化量について95%信頼区間を求めて有意差を判定する。また、フォローアップ時のアウトカムが計測できた場合は同様に有意差を判定する。
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備考 |
本研究で開発した装置の応用研究として、米国の脳波研究者らと共同で、脳波から得られる利用者の運動意図に連動した指運動による上肢機能回復訓練の実現とその効果検証に関する研究を本格的にスタートした。
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