研究課題/領域番号 |
15H03059
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
永井 清 立命館大学, 理工学部, 教授 (40198289)
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研究分担者 |
土橋 宏規 立命館大学, 理工学部, 助教 (50634490)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳卒中リハビリテーション / リハビリシステム / リハビリロボット / BCI / 運動機能回復訓練 |
研究実績の概要 |
本研究ではこれまで、1. 冗長駆動法に基づく上肢装着型リハビリロボットの開発、および、2. 脳波(EEG)を用いた運動意図の検出方法の確立、の二つを要素技術、およびそれらを統合化リハビリテーションシステムの構築について取り組んできた。平成27年度に得られた主な研究成果と取り組みは以下のとおりである。 1.冗長駆動法に基づく上肢装着型リハビリロボットの開発: 試作した1自由度リハビリロボットを健常者の上肢に装着して動作させる基礎的な実験により、運動機能回復訓練に有効な順応動作(コンプライアント動作)を生成し得ることが検証できた。この研究成果にに基づき、リハビリロボットの多自由度化のためのアクチュエータとリンク機構の検討を行った。 2.脳波(EEG)を用いた運動意図の検出方法の確立: 開発した代表周波数法に基づく運動意図検出アルゴリズムを健常者の脳波に適用する基礎的な実験により、運動意図を事前に検出し得ることが検証できた。この研究成果に基づき、運動意図の事前検出のためのアルゴリズムの検討を行った。 上記の内の研究成果については、リハビリロボットに関する国際会議(The 14th of the IEEE/RAS-EMBS International Conference on Rehabilitation Robotics (ICORR 2015)において、"Feasibility Study on EEG Driven Robotic System to Realize Efficient Stroke Rehabilitation" という題目の研究発表として採択され、報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳卒中リハビリテーションの一つである運動機能回復訓練に関して研究代表者は、これまでに、(1)脳波を用いた運動意図の事前検出法として、自己相関関数が0となるまでの時間を用いて判定する自己相関法、および脳波の代表周波数を検出して用いる代表周波数法を開発してきた。また、(2)冗長駆動法に基づき、ロボット先端に加わる力に応じた順応動作(コンプライアント動作)を生成する上肢装着型リハビリロボットを開発してきた。 本研究では、これらの要素技術をもとに、患者の運動意図の生成タイミングに合わせて上肢装着型リハビリロボットを動作させる統合化リハビリテーションシステムを開発すること、および、本システムを用いて、回復スピードを重視した効率的な運動機能回復訓練法を実用化することを進めてきており、得られた研究成果を国際会議で発表することなどができているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1. 脳波を用いた運動意図の事前検出法 本年度は、すでに開発してきた二つの方法、(1)自己相関関数が0となるまでの時間を用いて判定する自己相関法、および(2)脳波の代表周波数を検出して用いる代表周波数法、の内の(2)に着目し、運動意図の識別率を70%程度以上に向上させること、また運動意図の発生推定時刻の時間精度を0.1秒程度以内に向上させることを目指すとともに、運動意図のリアルタイム検出手法を確立する。この際、実際の運動生成前に運動意図を検出するため、本人および本人以外の過去の脳波データを関数近似することなどの手法を用いて、運動意図の推定時間の短縮化を試みる。
2. 冗長駆動法に基づく上肢装着型リハビリロボット 本年度は、まず、順応動作(コンプライアント動作)を生成するための冗長駆動法に基づく上肢装着型リハビリロボットの制御手法を確立する。また、昨年度まで取り組んできた冗長駆動法に基づくロボットの設計技術をもとに、三次元的な動作を対象とするリハビリロボットのための冗長駆動部とリンク機構部の設計を行い、基礎的な実験を行う。 さらに、上肢装着型リハビリロボットを、1. の脳波を用いた運動意図の事前検出法と融合させ、生体・運動情報を検出し、複合的感覚刺激を行う統合化リハビリテーションシステムの試作を試みる。
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