研究課題/領域番号 |
15H03067
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
志々田 文明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80196378)
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研究分担者 |
大保木 輝雄 埼玉大学, 教育学部, 名誉教授 (80114205)
池本 淳一 松山大学, 人文学部, 准教授 (90586778)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 武術性 / 新陰流 / 佚斎樗山 / 撃剣 / 大東流 / 中国武器 / 套路 |
研究実績の概要 |
武術原理論班では、志々田が「武術性概念とその展開:講道館護身術と「剣道の理念」」(日本体育スポーツ哲学会2018.9)、「武術性について」(東アジア武術・武道論研究会2018.10)、「武術性とサピエンス」(東アジア武術・武道論研究会2019.2.9)の研究報告を行い、武術性の理論を多角的にまた人類史に遡って考察した。 日本武道史班では、工藤が論文「1940年形研究会の歴史的意味」(講道館柔道科学研究会紀要2019.3)を発表し、嘉納治五郎の武術観に検討を加えた。研究発表としては、工藤が「昭和戦前期における「武術としての柔道」論の展開:当身技の研究に着目して」(日本武道学会2018.9)、 中嶋が「型を内側から知る:新陰流の参与観察を中心に」(東アジア武術・武道論研究会2018.6)、大保木が、「なぜ佚斎樗山は天狗芸術論・猫の妙術を書いたのか?:関宿藩(野田市)関係資料から」(東アジア武術・武道論研究会2018.10)及び「「撃剣(剣道文化)再考:競技の観点から」(東アジア武術・武道論研究会2019.2.9)、工藤が、「大東流の英名録・謝礼録にみる植芝盛平の煩悶:武道の近代化の異相」(東アジア武術・武道論研究会2018.4)をそれぞれ報告した。 中国武術班では、研究発表として、劉が、「日本における中国武術の需要過程:1897-1972の言説に着目して」(日本体育学会第69回大会 2018.8)及び「套路のグローバリゼーション」(早稲田大学SGU国際シンポ2019.3)を報告した。後者の研究は中国で最も注目される套路競技における武術性の衰退を論じて注目された。池本は、「中国武器の武術性に関する一考察:道生中国兵器博物館所蔵の武器と実演を例に」(東アジア武術・武道論研究会2018.11.24)を報告し、中国武術の武器の変遷から武術性の関係を論じるもので関心を呼んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原理論研究班、日本武道史班、中国武術論班のいずれも多彩な研究発表がなされているが、未だ論文に至っていない研究が多い。根本原因は研究の中核を担う研究者の教育研究活動及び社会活動からくる多忙にあるが、粉骨砕身の努力を以て本研究の完遂を図る必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、原理研究班と日本武道史班とで論文集を計画している。本計画には新たに近世剣道史の研究者を迎えて充実を図る。また中国武術班も、総括的論文とを計画している。中国武術・套路競技の変遷にみる武術性に関する論文を計画している。さらに年度内に総括的シンポジウムを行うことによって武術性概念から見た東アジア武術を検討する。以上により遅れを取り戻す計画である。
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