研究課題/領域番号 |
15H03071
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 千あき 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40335401)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 開発のためのスポーツ / 平和のためのスポーツ / 貧困削減 / ホームレスワールドカップ / カンボジア / ジンバブエ |
研究実績の概要 |
初年度に行った ①貧困とスポーツに関わる先行研究の検討、②ホームレスワールドカップについて公表されている成果等の検討、③日本の事例の検証の3つについて、①については初年度に完了している。 今年度は、②の「ホームレスワールドカップの成果」についてまとめ、国際学会1件、国内学会1件、英語論文1件、日本語論文1件において発表を行った。また、③について、「開発と平和のためのスポーツ」そのものが、わが国において政策的転換期にあるため、特に国際学会や国際ジャーナルにおける英語での発表を重視し、英語論文3件(うち1件は書籍の1章)、日本語論文1件において現状や課題をまとめて発表を行った。さらに1件の国際ジャーナルにおいて査読中である。 研究の中心として予定していたフィールドワークについて、香港(5月)、ホームレスワールドカップ大会(7月)、カンボジア(9月)、ジンバブエ(2月)の4件を実施した。香港、カンボジアについては予備調査の位置づけであったが、ジンバブエについては、7月のホームレスワールドカップ大会での調査対象者との面談や、ジンバブエ国内の連携研究者の協力状況を踏まえて、本調査の位置づけで実施した。ジンバブエにおける調査結果については、来年度にフォローアップ調査を行った上で、連携研究者と共に結果を検証し、学会、論文等で発表する予定である。香港、カンボジアについては予備調査の結果を元に本調査を計画し、段階的に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に行った研究について、論文や講演等での発表の依頼を受けたこともあり、予想以上に多くの場で成果を発表することができた。フィールドワークについては、香港、カンボジアでは予備調査、ジンバブエでは本調査を行い、おおよその目的を達成した。香港については、当初の研究計画で予定していた「メキシコ」から変更して行い(ホームレスワールドカップ大会本部からの勧めによる)、ジンバブエについては「ザンビア」から計画を変更して行った(現地の治安状況と受け入れ先の状況の変化による)。カンボジアについては、研究計画の当初予定通りであり、香港と合わせて次年度に実施予定の本調査のための基盤づくりができたと考えている。ジンバブエについては、共同研究者が大きな役割を果たし、さらに受け入れ団体の全面的なバックアップを受けたため短期間で調査を行うことが可能となり、既に調査結果をまとめる段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にフィールドワークを行った国々について、受け入れ団と良好な関係が築けているため、3年目以降も継続的に調査を行い、成果の検証と発表を試みたいと考えている。ホームレスワールドカップ大会では、現地調査を予定していない他国の事例についても、団体スタッフや選手へのインタビューを通じて新たな知見を得ることができた。これらの成果を国ごとのケーススタディに留まらないホームレスワールドカップの意義、あるいは貧困削減におけるスポーツの役割、に関する議論へとつなげたい。さらに、「開発と平和のためのスポーツ」や「貧困削減とスポーツ」に関する学術的動向を踏まえた上で、調査手法や前提条件等の議論にも参加していきたいと考えている。
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