研究課題/領域番号 |
15H03073
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研究機関 | 日本赤十字北海道看護大学 |
研究代表者 |
山本 憲志 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 准教授 (70299329)
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研究分担者 |
和田 匡史 国士舘大学, 理工学部, 教授 (00320101)
橋本 眞明 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (30156294)
竹ノ谷 文子 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (30234412)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人工炭酸泉 / 骨格筋 / コンディショニング |
研究実績の概要 |
地下の高圧・高温下で発生した二酸化炭素が過飽和状態で地下水に溶解して生じ、地表に湧出した後も高濃度のCO2(CO2:1000ppm以上)を含む療用泉(炭酸泉)には、入浴による皮膚血管拡張作用や全身の交感神経活動の減弱作用などが知られている。同等のCO2濃度を持つ人工炭酸泉を用いたこれまでの研究により、浸漬部皮下の骨格筋血管の拡張作用も報告されてきた。筋血管拡張による血流増加は、運動時の筋疲労進行や疲労からの回復への影響を示唆する。そこで、我々は超音波組織弾性イメージング法(Ultrasound Elastography : UE)によりカーフ・レイズ後のCO2泉足浴による下腿部筋硬度の変化を水道水(tap)足浴と比較検討を行った。足浴後のUEによるSRの値は、CO2足浴がtap足浴よりも有意に小さくなった(0.62±0.07 vs. 1.37±0.38, p<0.05)。さらに、足浴後のVASはCO2足浴がtap足浴よりも有意に小さくなり、(22.2±13.5 vs. 38.8±13.5 mm, p<0.05)疲労感が軽減した。また、断続的に繰り返す握力測定による握力の減少を筋疲労の指標とし人工炭酸泉への前腕浴の影響を評価した実験結果では、測定休息中の人工炭酸泉前腕浴が筋疲労の進行を抑制し、疲労からの回復を促進する効果が示唆された。さらに、健康な大学生に対し、トレーニング後の就寝前に高濃度人工炭酸泉(CO2 < 1000ppm)と水道水(CO2 > 20ppm)による全身浴を日を改めて実施したところ、人工炭酸泉浴では、水道水浴と比較して温覚が高いこと、入眠時間が短くなった。人工炭酸泉入浴後には熱放散が促進され、深部体温の降下を促進する事で人工炭酸泉浴がスムーズな睡眠導入に貢献した可能性が示唆される。これらのことから、人工炭酸泉浴は良質な睡眠を得られ、筋のコンディショニングの改善に貢献できるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被検者の選定に時間を要し、さらに、測定機器の調整が予定よりも難航し、研究の進捗状況はやや難航している。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者との連携をさらに密にするとともに、被検者の選定、測定環境をスムーズに行える環境を整え、目標とする実験を遂行して行く。
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