開発した基準表面形状モデルを利用し、遮蔽物が存在する環境下において提案手法の有効性を示し、マーカレスモーションキャプチャ法の新たな利点となることを示した。(3-1)開発した基準表面形状モデルの拡張を行い、より複雑な運動を示す股関節(臀部)の変形を再現可能とした。これまでのモデルは膝や肘などの粗大には屈曲・伸展運動のみの関節であったが、本モデルでは股関節の屈曲・伸展に加え内外転も再現できるようになった。これにより矢状面外の複雑な運動にも対応可能となった。(3-2)完成した提案手法を利用して、遮蔽物が存在下で視体積の構築を行い、シェイプマッチングを行った。長管部の遮蔽率とシェイプマッチングの可否および一致精度について定量的に明らかにした。遮蔽率の変更を行うために、高さの変えられるブランドカーテンなどを利用し、計測対象部位の長さに対する障害物による遮蔽長さの比率として遮蔽率を求めた。(3-3)前年度までに得られた視体積に、開発した基準表面形状モデルをマッチングさせる際の評価手法についてさらなる検討を行った。対象とする関節の標準的な関節可動範囲を定めておくことで、解空間におけるマッチングの探索領域を制限した。また、探索の初期値を定めるにあたり、全フレームでの結果を利用するだけでなく、可動範囲を離散的に分割し、離散値ごとに評価の高かった部分を探索の初期値の候補とした。これにより、短時間で大きな運動を示したり、撮影状況によって高精度の視体積が得られない場合であっても、探索の効率を高めることができた。
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