研究課題
本課題は、運動・トレーニングによる骨格筋肥大のメカニズムにつき、リボソーム生合成の活性化に焦点を当てて解明を試みることを目的とする。平成28年度までの研究から、筋肥大の程度がリボソーム量に強く依存すること、UBFのリン酸化を介したリボソーム生合成の活性化がトレーニングの初期(3 bout目までの間)に起こることなどが判明した。平成29年度は、同様のラット筋力トレーニングモデル系を用い、主にタンパク質合成(SUnSET法)、リボソーム量、翻訳活性化因子の間の関係につき調べた。基本的なプロトコルとして、対照群、1B 群(5セット/boutのトレーニング刺激を負荷)、3B 群(1日おきに計3 bouts)に分け、それぞれ最後のトレーニング刺激から6時間後に筋をサンプルした。結果は以下のとおり:1)タンパク質合成速度は、1B群、3B群で有意に増加したが(ともに2倍程度)、1B群、3B群で差がなかった;2)rRNA量は1B群では増えず、3Bでのみ増加した;3)翻訳活性化に関わるmTORシグナル伝達系では、p70S6K、rpS6、4EBP1のリン酸化フォームが、1B、3Bのいずれでも増加したが、3Bでは1Bに比べて低値であった;4)20セットを1bout行う群(1B-20S)と、3 bouts のうちの最後のboutのみ20セット行う群(3B-20S)に分けて調べたところ、タンパク質合成およびrRNA量は3B-20S>1B-20Sとなり、mTORシグナル伝達系活性は3B-20S=1B-20Sとなった。これらの結果から、リボソーム量の増加はトレーニングの比較的初期の段階で起こるが、同一のトレーニングプロトコルを続けた場合には翻訳活性化シグナルが減弱し、リボソーム量の増加と翻訳活性化シグナルの減弱が相殺することでタンパク質合成が頭打ちになることが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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