呼吸筋活動が循環応答に及ぼす影響および心肺圧受容器反射による運動時の循環調節への影響を明らかにすることを目的とした. 研究1.呼息筋の活動増加による影響.呼息側に抵抗をかけ,運動時の呼息筋の活動を増加させた際の血圧および血管運動神経活動の変化を観察した.血管運動神経の測定には,微小神経電図法(マイクロニューログラフィ)を用いた.呼息筋の活動増加により,血圧および血管運動神経活動の有意な増加が認められた. 研究2.中心血液量の変化による影響.セミリカンベント式の自転車エルゴメータを用いて,異なる自転車回転数(筋ポンプ作用の違い)による血管運動神経活動の変化が,低酸素環境の影響を受けるかどうか観察した.自転車の回転数を増加させた際の血管運動神経活動は,常酸素環境では低下するが,低酸素環境では変化しなかった. 研究3.呼吸筋活動による循環調節への性差(1).安静状態で実施する呼吸筋持久力テスト中の血圧応答の変化を,若年男女で比較した.男性および女性とも換気量が増加するにつれて血圧の上昇が認められたが,その上昇の程度は男性より女性で有意に小さい結果が認められた. 研究4.呼吸筋活動による循環調節への性差(2).自転車運動時に吸気抵抗をかけ,血圧応答および血管運動神経活動の変化を,若年男女で比較した.吸息筋の活動増加は,血圧の上昇および血管運動神経活動の増加を引き起こしたが,その程度は女性の方が男性より小さかった.
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