研究課題/領域番号 |
15H03081
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
福 典之 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (40392526)
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研究分担者 |
関根 紀子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 客員准教授 (10393175)
村上 晴香 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 健康増進研究部, 室長 (20344880)
飛奈 卓郎 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (60509678)
内藤 久士 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 教授 (70188861)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 瞬発系・パワー系運動能力 / 持久系運動能力 / 最大酸素摂取量 / ゲノムワイド関連解析 / 日本人 / ロシア人 |
研究実績の概要 |
これまで研究代表者は、持久的運動能力や瞬発系運動能力に関連するゲノムワイド関連解析(GWAS)からGALNTL6遺伝子領域に存在する遺伝子多型が持久的運動能力に、GALNT13遺伝子領域に存在する遺伝子多型が瞬発的運動能力関連することを見いだしている。このように、持久系・瞬発系独立したGWASにも関わらず同じような機能を有する遺伝子領域内でそれぞれの運動能力に関連する遺伝子多型が見つかった。瞬発系・パワー系運動能力と持久的運動能力は異なった表現型であると考えられる。例えば、筋線維組成は一般的に瞬発系・パワー系運動能力に優れた選手は速筋線維が多く、持久力に優れた選手は遅筋線維が多いことが知られている。今回は、瞬発系パワー系選手と持久系運動選手に間で有意に異なる遺伝子多型の同定を試みた。54名の日本人陸上競技エリートスプリント・パワー系選手および60名の日本人エリート持久系選手を対象にilluminaHumanOmniExpressBeadChipを用いて、75万の遺伝子多型を網羅的に解析した。さらに、ロシア人陸上競技選手を対象に同様の解析をilluminaHumanOmniQuadBeadChipで実施し、日本人陸上競技選手とロシア人陸上競技選手に共通に見つかる遺伝子多型の同定を試みた。日本人の瞬発系パワー系選手と持久系選手の間で約25,000個の遺伝子多型がP<0.05レベルで異なっていた。この25,000多型のうち約200種はロシアの瞬発系パワー系選手と持久系選手の間でP<0.05レベルで異なっていた。この200種の多型のうち日本とロシアの両群で最大酸素摂取量と関係する遺伝子多型は3つ存在した。この3つの遺伝子多型は主にPCDH9およびGATAD2A遺伝子領域内で見つかった。今後、この遺伝子の機能的意義を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回は、瞬発系パワー系選手と持久系運動選手に間で有意に異なる遺伝子多型の同定を試みた。国際大会出場経験を有する54名の日本人陸上競技エリートスプリント・パワー系選手および60名の日本人エリート持久系選手を対象にilluminaHumanOmniExpressBeadChipを用いて、75万の遺伝子多型を網羅的に解析した。現在、日本人とロシア人の両群において、瞬発系・パワー系運動選手と持久系運動選手の間で遺伝子多型頻度が大きく異なり、それに加えて、両群において最大酸素摂取量との関連が見つかった3つの遺伝子多型に着目している。今後、筋力や筋量といった表現型や筋線維組成との関連についても検討することで、瞬発系の運動能力や持久系の運動能力に関連する候補遺伝子多型を同定する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、瞬発系パワー系の選手と持久系の選手との間で有意に異なる遺伝子型に着目している。このような遺伝子多型の中には筋線維組成および骨格筋ミトコンドリア機能に関連した遺伝子多型も含まれている可能性がある。今後は、筋線維組成および骨格筋ミトコンドリア機能といった表現型にも着目して検討し、さらにはそれらの機能解析を実施する必要性がある。
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