研究課題
本研究の目的は、小中高の児童生徒の精神保健向上と精神疾患対策に役立つ授業プログラムの開発と効果検証にある。精神疾患は10代で急増するので、児童生徒への精神疾患教育の重要性は極めて高い。本年度は、それまでに本研究で開発した、学校教員が実施する授業用プログラムを、より多くの学校で実施し、その効果検証をさらに進めたが、特筆すべきは、対照群を設けるデザインでの授業を実施・解析し、効果検証を実際に行ったことである。具体的には、首都圏の公立高校の1年生をクラス単位で、計3回の質問紙調査実施時期に授業を行ったクラス(延べ17クラス、介入群)と、授業を行わないクラス(延べ10クラス、対照群)に分け、複数回の調査の影響を調整し、(1)精神保健・精神疾患に関する知識、(2)援助希求行動の必要性の認識、(3)援助希求の意思、(4)友人への援助の意思に対する授業の効果を調べた。授業前後の比較でも、授業前と2か月後の比較でも、介入群は対照群よりも、(1)~(4)の全てで有意に高い改善を示した。なおこの検証では、元々50分2回で実施する予定で開発したプログラム内容を、学校の時間的制約から50分授業1回のみの短時間で教えた。授業は各クラスの担任と養護教諭のチームで実施した。この結果から、本研究で開発した授業プログラムは、50分授業1回の短時間で実施しても、知識、援助希求への認識・意思、友人への援助の意思のいずれにも効果が得られる可能性が示唆された。精神疾患教育は2022年度より高校の保健体育で必修化されることとなり、時間の制約の中でどのような授業を実施すべきかが大きな課題となっているが、本研究で開発した授業プログラムはその解決の一助になると期待される。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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