研究実績の概要 |
【調査の概要】首都近郊都市S市の全中学校(37校)から地域に偏りのない計10中学校 (地域全中学生徒数の31.2%)の女子中学生全員を対象にアンケート調査を実施し、2376名(回収率98.6%)の回答を得た。今回は2010年に同様に実施した同市の同一中学校、同学年女子中学生全員に対するアンケート調査2069名(回収率78.5%)における身長・体重ならびに摂食障害診断質問紙(EDE-Q6.0日本語版)結果との変動を検討した。なお、中国地方都市K市も実施し、さらに両市の男子生徒の調査も実施済みであるが、解析は進行中である。したがって、今回はS市女子中学生のみの解析結果の概要を下記に示した。 【結果の一部の概要】2010年と2015年を比較すると体格指数には変動はなかった。EDE-Q6.0の4因子(食事制限R、食事へのこだわりEC、体形へのこだわりSC、体重へのこだわりWC)で平均4点以上(臨床的問題あり)の割合は、R(1.4% vs 2.6%, p=0.000%)、EC(0.3% vs 1.1%, p=0.001)、SC(8.8% vs 12.5%, p=0.000) WC(6.5% vs 8.9%, p=0.002)と、それぞれ全て有意に増加し、また制御不能のむちゃ食い(週1回以上)も有意に増加していた (8.6% vs 10.5%, p=0.033)。ただし不適切な代償行為(月2回以上)である嘔吐や下剤乱用に差はなかったが(1.5% vs 1.4%, p=0.590; 0.9% vs 0.9%, p=0.831)、8時間以上の絶食(1~5日/月以上)は有意に増加(10.2% vs 12.9%, p=0.004)していた。 【本年度の結論】この5年間で、S市における女子中学生の食行動異常は増加していると言える。
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