研究課題/領域番号 |
15H03089
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
荒尾 孝 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00409707)
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研究分担者 |
北畠 義典 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00450750)
武田 典子 工学院大学, 基礎・教養教育部門(公私立大学の部局等), 准教授 (70386655)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢者 / 膝痛 / 認知機能 / 身体活動 / 座位行動 / 肥満度 / 栄養 |
研究実績の概要 |
1)前年度に実施した対象地域に居住する全自立高齢者を対象とした調査データの分析と発表 「身体活動および座位行動と主観的認知機能低下との関連」について解析を行った結果、身体活動と読書が認知機能低下と関係することが明らかとなった。すなわち、身体活動は150分以上/週、読書は10分以上/日行うものは認知機能低下のリスクが低い可能性が示された。さらに、身体活動時間が長く、読書時間も長いほど認知機能低下のリスクが低いことが示された。これらの結果については、第75回日本公衆衛生学会学術総会にて発表し、国際老年医学雑誌に投稿予定である。 「地域在住高齢者における膝痛の関連要因」について解析を行った結果、身体活動、肥満度(BMI)、栄養状態がそれぞれ有意な関連要因として認められた。すなわち、身体活動は150分以上/週で、肥満度はBMIが25以下で、栄養状態が良好でそれぞれ膝痛のリスクが低いことが明らかとなった。これらの結果については、第75回日本公衆衛生学会学術総会にて発表し、国際老年医学雑誌に投稿予定である。 2)生活拠点型健康づくりの場「居場所」の整備とその運営システムの構築 対象地域全体において、自治会単位での居場所の設置に向け、①全地区での調査結果報告会を開催、②居場所の運営者を対象とした情報交換と研修を目的とした会議の開催、③居場所運営システムの構築に関するモデル地区の選定と支援 を実施した。その結果、平成28年度末までに居場所開設が13か所、開設準備が4か所、今後開設予定が2か所となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年度は、初年度に実施した全数調査に関するデータ解析とその成果発表および地域介入の生活拠点型の新たな健康づくりの場「居場所」の整備を主たる活動目標とした。これらの活動についてはほぼ予定通りの成果が得られた。なお、コホート研究の2年度のアウトカム調査については、対象地域の行政の協力により、介護認定者情報を活用することとなった。このことで、主要なアウトカムは毎年次、行政から提供されることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年度(最終年度)における主たる研究活動は以下の内容を予定している。 1)前年度に引き続きベースラインデータの解析と成果発表を行う。今年度は国内外の学会で3題の発表と5論文の投稿を予定している。 2)「居場所」の整備とその運営システムの構築を行政と住民との協働で進める。特に、今年度は、モデル地区での居場所の運営システムの構築に関する活動を中心に実施する。そのために、近隣住民に対する居場所事業に関する情報の提供、ボランテイアの育成、地区組織代表者との連絡会議などを実施する。 3)コホート研究に関しては、2年後の調査を2018年1月に実施する。この調査では、ベースラインで調査に協力していただいた自立高齢者約5700人を対象として実施する。ただ、今年度の研究費が少ないことから、調査の実施に関しては一部変更する必要があるものと思われる。
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