研究課題
肥満を背景とした生活習慣病は、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患,脳血管疾患)リスクを増大させる。近年、肥満やメタボリックシンドロームの患者において、性ステロイドホルモンの分泌能は正常人より低下し、血中性ステロイドホルモン濃度と動脈硬化リスクとの間には相関関係が認められることが横断的な検討にて示されている。一方、運動や性ステロイドと化学構造が類似しているジオスゲニン含有の食物を摂取することにより性ステロイドホルモンの分泌を増大させることから、肥満やメタボリックシンドローム患者において、低下した性ステロイドホルモン分泌能を改善させる運動や食事療法を提示することができれば、動脈硬化性疾患リスクを予防・改善できるのではないかと考えられる。しかしながら、運動および食事による性ホルモン分泌増大が動脈硬化改善に貢献する効果機序に関しては明らかでない。そこで本研究では、運動やサプリメント摂取による性ステロイドホルモン分泌の増大が動脈硬化度の改善効果に貢献するのかを明らかにすることを目的とした。肥満・メタボリックシンドロームモデル動物としてOLETFラットを用い、8週間の有酸素性運動(トレッドミル運動:25m/分スピード,1時間/日,週5日)を実施し、トレーニング後の動脈硬化度(PWV)を測定し、その後採血および動脈血管を摘出し、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の産生を測定した。肥満によりPWVは増大していたが、有酸素性トレーニングにより改善し、NO産生も有意に増大していた。今後、性ステロイドホルモン濃度との関係を検討することで、運動効果に対して貢献しているのかを検討する。
2: おおむね順調に進展している
肥満モデルラットに対して有酸素性運動を実施させ、モデル動物の作成およびその後の動脈硬化度(PWV)の測定評価、臓器の摘出や動脈血管組織中の血管拡張物質の測定や骨格筋内の生保ステロイドホルモン合成酵素の発現量の測定は予定どおり終了したが、性ホルモンの解析を現在実施中である。
今後は有酸素性運動による動脈硬化度の改善に性ステロイドホルモンが関与するかをinhibitorを用いた実験で確認することやサプリメント摂取における動脈硬化度の影響とその機序解明を研究の目的に沿って実施する。
すべて 2016 2015
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