研究課題/領域番号 |
15H03094
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東郷 史治 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (90455486)
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研究分担者 |
吉崎 貴大 東洋大学, 食環境科学部, 講師 (50732830)
岸 哲史 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 助教 (70748946)
小松 泰喜 日本大学, スポーツ科学部, 教授 (80436451)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ストレス / 身体活動 / 心身の健康 / 交代制勤務 / 栄養 / 疲労 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
交代制勤務者を対象とした日常生活時の生理・心理・行動の実態調査について、測定を進めた。実態調査では、日常生活時の身体活動、食事、睡眠、皮膚温、眠気、疲労、気分、食欲、満腹感等に関するモニタリングを対象者の日常生活時に実施した。具体的には、手首または腰に装着する加速度センサーを用いて身体活動あるいは睡眠覚醒リズムを測定、温度センサーを足首に装着し皮膚温を測定、眠気、疲労、気分、食欲、満腹感等については、アンドロイドOSデバイスに質問紙調査を実装し、日常生活下のものを把握した。これまでに、夜勤を伴う交代制勤務に従事する看護師または介護士50名(20名は以下の測定の一部を実施)と日勤のみに従事する看護師または介護士30名を対象として、日常生活時の身体活動、皮膚温、睡眠、食事、眠気、疲労、気分等に関する同時モニタリングを1週間連続で実施した。なお、モニタリング調査開始前には習慣的な睡眠、食事、身体活動・運動、生活習慣病や心身の健康に関するアンケート調査、モニタリング調査終了後には、採血および唾液採取を実施し、脂質代謝マーカー、糖代謝マーカー、ストレスマーカー、炎症マーカーについて計測した。また、大学生を中心とする健常成人44名を対象として、1週間にわたり経時的に日常生活下で同様の測定を実施した。これらの測定と平行して、交代制勤務シミュレーション実験の準備を進めた。とくに、神経心理学的検査で用いるタスク(IOWAギャンブルタスク、時間割引率タスク、ウィスコンシン・カード分類テスト、ストップシグナルタスク)について、PC版プログラムを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画は、健常成人48名(30~59歳)を対象として介入前、介入中のデータを収集すること(日常生活実態調査の実施)であった。現在までに、介入調査への参加者選定のためのベースライン調査として、80名を対象にデータを収集した。また、食事介入の手法については、大学生44名を対象に実施した実態調査の結果を合わせて検討し、概日リズム調節に有効と期待されるプロトコルについて確認した。さらに、交代制勤務シュミレーション実験の準備をほぼ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
生活習慣介入中の実態調査と介入後の健康診査を実施するとともに、交代制勤務シミュレーション実験をする。生活習慣調査の測定対象者は、本研究に参加の同意が得られた30~59歳の日勤(昼勤務)と夜勤(夜勤務)を繰り返す交代制勤務に従事する看護師・介護士あわせて72名とする。無作為に非介入群18名、睡眠、食事、運動の各介入群18名に分ける。各介入群では各生活習慣への介入を4週間実施する。これらの生活習慣介入の前と介入中に実態調査として、日々の気分、疲労、眠気等の自覚症状、睡眠、食事、身体活動を含む生活行動、概日リズムと関連する体温を小型デバイスを用いてモニタリングする。また日勤日に唾液採取(ストレスマーカーと炎症マーカーの計測)、24時間心電図記録を実施する。さらに介入後では、空腹時採血(ストレスマーカー、炎症マーカー、脂質代謝マーカー、糖代謝マーカー等の計測)、神経心理学的検査(脳内報酬系、衝動性の抑制、実行機能の評価)を実施する。交代制勤務シミュレーション実験では、夜勤による生活習慣と意思決定特性への急性的影響を検討する。対象者は夜間に働いていない健常成人30名とする。日勤条件日は朝9時に実験室へ立ち寄り、その後に通常の生活、夜勤条件日は夕方6時から朝9時まで明るい実験室で覚醒を維持してもらう。交代制勤務条件では、日勤5回、夜勤1回、日勤3回、コントロール条件では日勤9回を継続して実施し、各期間中に食事、満腹感、食欲、睡眠―覚醒、身体活動、体温をモニタリングする。また実験前後、夜勤直後では神経心理学的検査を実施する。なお各対象者は1ヶ月以上の間を空けて2つの条件を実施し、半数の実施順序を逆にする。
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