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2016 年度 実績報告書

アスリートパラドックスの全容解明と臨床応用の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15H03097
研究機関順天堂大学

研究代表者

河盛 隆造  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00116021)

研究分担者 筧 佐織  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (00450560)
田村 好史  順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80420834)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードアスリートパラドックス
研究実績の概要

2型糖尿病や動脈硬化症の発症、進展に関わるインスリン抵抗性と密接に関連していることが明らかとなっている、骨格筋細胞内への脂質の蓄積について、長距離ランナーでは「アスリートパラドックス」と定義される、骨格筋細胞内は脂質が多量に蓄積して肥満状態になっているのにも関わらずインスリン感受性が高いという現象が起こる。本申請ではこの「アスリートパラドックス」の全容解明を目指し研究を進めている。平成28年度は、長距離ランナーから採取した骨格筋生検サンプルを原資として抽出された候補遺伝子に関連し、各遺伝子の運動強度との関連をヒトにおける骨格筋と血清の脂質、代謝産物の網羅解析を行うことによって検討した。
インスリン抵抗性を有する被験者に対して運動を行わせ、採取した血清及び骨格筋生検サンプルのメタボローム解析を行った。その結果、血清lipidの一部やアミノ酸など、複数の基質が骨格筋インスリン感受性改善と強く相関することが明らかとなった。さらに興味深いことに、現在まで骨格筋細胞内脂質の蓄積と骨格筋インスリン感受性には負の相関があるといわれてきたが、これとは逆に蓄積しているとインスリン感受性が高くなる脂質が多数存在することが明らかとなった。このことは、既存とは全く異なるインスリン抵抗性のメカニズムが非肥満者で存在することを示唆しており、現在までの肥満を中心としたインスリン抵抗性のメカニズムの概念を根底から覆す可能性も考えられる。
現在、今回明らかとなった複数の基質とこれまで長距離ランナーから採取した骨格筋政権サンプルより得られた候補遺伝子との関連の検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

抽出されてきた候補遺伝子についてトランスジェニックマウスを作成しているが、作成に当たり少し時間を要している。しかしながら、現在マウス作成に関しては学内で助言をいただきトラブルは解決している。

今後の研究の推進方策

作成したトランスジェニックマウスの解析を進めることにより、候補遺伝子の機能解析を行う。また、28年度に明らかとなった血清から抽出された候補物質については、in vitro, in vivoの系を用いた骨格筋への直接的影響とその物質の血中濃度がどのように高まったかを総合的に考慮し実験を進める。これらの研究成果を統合して、各候補遺伝子を指標にすることなどにより、運動強度や量、食事との組み合わせの最適化や、薬物介入の可能性などについて応用法を検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Effects of alcohol abstinence on glucose metabolism in Japanese men with elevated fasting glucose: A pilot study.2017

    • 著者名/発表者名
      Funayama T, Tamura Y, Takeno K, Kawaguchi M, Kakehi S, Watanabe T, Furukawa Y, Kaga H, Yamamoto R, Kanazawa A, Fujitani Y, Kawamori R, Watada H.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 9 ページ: 40277

    • DOI

      10.1038/srep40277

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relation Between Insulin Sensitivity and Metabolic Abnormalities in Japanese Men With BMI of 23-25 kg/m2.2016

    • 著者名/発表者名
      Takeno K, Tamura Y, Kawaguchi M, Kakehi S, Watanabe T, Funayama T, Furukawa Y, Kaga H, Yamamoto R, Kim M, Nishitani-Yokoyama M, Shimada K, Daida H, Aoki S, Taka H, Fujimura T, Sawada SS, Giacca A, Kanazawa A, Fujitani Y, Kawamori R, Watada H.
    • 雑誌名

      J Clin Endocrinol Metab

      巻: 101 ページ: 3676-3684

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A randomized controlled trial of 130 g/day low-carbohydrate diet in type 2 diabetes with poor glycemic control.2016

    • 著者名/発表者名
      Sato J, Kanazawa A, Makita S, Hatae C, Komiya K, Shimizu T, Ikeda F, Tamura Y, Ogihara T, Mita T, Goto H, Uchida T, Miyatsuka T, Takeno K, Shimada S, Ohmura C, Watanabe T, Kobayashi K, Miura Y, Iwaoka M, Hirashima N, Fujitani Y, Watada H.
    • 雑誌名

      Clin Nutr

      巻: 16 ページ: 30169-8

    • DOI

      10.1016/j.clnu.2016.07.003

    • 査読あり
  • [学会発表] Physical inactivity and high fat diet additively induce diacylglycerol accumulation and insulin resistance2016

    • 著者名/発表者名
      Saori Kakehi, Yoshifumi Tamura, Shin-ichi Ikeda, Naoko Kaga, Ryuzo Kawamori, Hirotaka Wata
    • 学会等名
      76th American Diabetes Association Scientific Sessions
    • 発表場所
      New Orleans, Louisiana
    • 年月日
      2016-06-10 – 2016-06-14
    • 国際学会
  • [学会発表] 高脂肪食・不活動による骨格筋インスリン抵抗性発生メカニズム2016

    • 著者名/発表者名
      筧 佐織
    • 学会等名
      第59回日本糖尿尿病学会年次学術集会シンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-21
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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