研究課題
・L-乳酸オリゴマーの合成昨年に引き続き、L-乳酸を出発原料として、オリゴマーの合成を実施した。また、L-乳酸オリゴマーのVCD測定、理論計算を行った。種々のオリゴマーのVCDスペクトルを検討した結果、固い構造がとりうる範囲が大凡判明した。また、オリゴマーについてのVCDの理論計算を実施、実際のVCDスペクト ルとの比較により、溶液中のオリゴマーの構造が明らかにすることができた。新たな試みとして、ポリアミド構造の知見に注目、ポリアミド体の合成を開始し、中間体の合成を達成した。・カルボニル基以外のIR官能基の検討我々が開発したVCD励起子キラリティー法は、原理的には、カルボニル基のみならず、他の官能基にも、適用可能と思われる。独立した位置に吸収をもち(アサインが容易)、振動モードが単純、かつ化学的に導入が可能な官能基として、アジド基を選び、適用性の検討を実施した。グルコース、ガラクトース、マンノースを出発原料として、3から6段階の工程をへて、4種のジアジド糖鎖誘導体の合成に成功した。また、これらの誘導体の水酸基は保護状態として、溶解度を高めるとともに、水素結合の影響を除去することとした。それぞれの化合物について、VCDスペクトルを測定した。2つの隣接するアジド基に由来するVCDシグナルは、明確な励起子型VCDシグナルを示すことが、判明した。また、これらの化合物の配座解析を実施、2つのアジド基の角度とVCDシグナルとの関連性について考察した。これにより、カルボニル基以外においても、VCD励起子キラリティー法が適用可能であること示された。
1: 当初の計画以上に進展している
概ね順調に進行している。ポスエステル体の溶液中での構造情報を得るのに成功している。新たな官能基として、アジド基に注目し、励起子型VCDシグナルの観測に成功している。また、これらの結果をもとに、学会発表などの外部発表も多数実施しており、その際の討論の結果も研究にフィードバックさしている。
・L-乳酸オリゴマーの合成、ポリアミド体の合成L-乳酸を出発原料として、オリゴマーの合成を引き続き実施するとともに、対応するポリアミド体の合成を実施する。ポリアミド体は同様な立体化学を有しているにもかかわらず、反対のらせん構造を有している。両者を比較することにより、らせん形性の本質的な力を見極める。両者における理論計算を実施する。また、ポリエステル体とポリアミド体のハイブリット体の合成も実施する。・カルボニル基以外のIR官能基の検討アジドに関しての実験、理論計算を繰り返すことにより、アジド官能基の実用性について検討する。また、他の官能基、ニトリル基、イソニトリル基、アルキンなどについても、励起子型のVCDシグナルを与えるかどうかの検討を行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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