研究課題/領域番号 |
15H03113
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三原 久和 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (30183966)
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研究分担者 |
堤 浩 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70398105)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体分子科学 / ペプチド / 細胞相互作用 / バイオチップ |
研究実績の概要 |
ガン細胞や幹細胞等の分化や状態の迅速解析を行う細胞検査バイオチップの開発を目標として、細胞と種々の異なる相互作用をする機能性ペプチド群を創製する基盤研究について平成27年度の成果を発展させるべく、以下の項目1)~3)により計画的に実施した。 1)細胞挿入活性を有するペプチド群の創製:ガン細胞の識別やタイピング解析を行えるシステムを構築するために、平成27年度に獲得した細胞挿入活性を有するCell Penetration Peptide (CPP)リガンド群のガン細胞等との相互作用を種々解析した。ガン細胞に対して、ペプチドリガンド群のアミノ酸配列のわずかな違いにより細胞選択性、細胞導入能の大きな差異があることを明らかにした。 2)細胞表層タンパク質と相互作用する糖ペプチド群を含むペプチド群のファージ提示法による創製: ペプチド提示ファージ法により、細胞表層タンパク質等をターゲットとし、これらと特異的に結合するαへリックスやβループ構造を有する糖ペプチド群を含むデザインペプチド群の合成を引き続き実施した。ペプチドライブラリーの質を向上させる研究も実施した。獲得したペプチド群の一部と細胞表層タンパク質との相互作用を解析する系の構築を行った。 3)ナノ粒子複合化による高機能ペプチド性ナノリガンド群の創製と細胞分析:上記で創製した細胞挿入活性ペプチド群や細胞表層結合性の糖ペプチド群を、金ナノ粒子等のナノ粒子と複合化させ、種々の細胞相互作用・識別能力を有するペプチドナノリガンド群を引き続き合成した。ガン細胞が提示するタンパク質をターゲットとして細胞識別を可能とする解析系の構築を行った。 以上の要素技術を融合して、細胞検査用のペプチド性バイオチップを創成するための機能性ペプチド群の創製とガン細胞識別解析系の構築研究を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)細胞挿入活性を有するペプチド群の創製:ガン細胞の識別やタイピング解析を行えるシステムを構築するために、平成27年度に獲得した細胞挿入活性を有するCell Penetration Peptide (CPP)リガンド群のガン細胞等との相互作用を種々解析し、本項目について順調に進展している。 2)細胞表層タンパク質と相互作用する糖ペプチド群を含むペプチド群のファージ提示法による創製: ペプチド提示ファージ法により、細胞表層タンパク質等をターゲットとし、これらと特異的に結合するαへリックスやβループ構造を有する糖ペプチド群を含むデザインペプチド群の合成を引き続き実施した。また研究を5ヶ月延長し、ペプチドライブラリーの質を向上させる研究も実施した。獲得したペプチド群の一部と細胞表層タンパク質との相互作用を解析する系の構築を行い、本項目について順調に進展している。。 3)ナノ粒子複合化による高機能ペプチド性ナノリガンド群の創製と細胞分析:細胞挿入活性ペプチド群や細胞表層結合性の糖ペプチド群を、金ナノ粒子等のナノ粒子と複合化させ、種々の細胞相互作用・識別能力を有するペプチドナノリガンド群を引き続き合成し、ガン細胞が提示するタンパク質をターゲットとして細胞識別を可能とする解析系の構築を行った。本項目について順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ガン細胞や幹細胞等の分化や状態の迅速解析を行う細胞検査バイオチップの開発を目標として、細胞と種々の異なる相互作用をする機能性ペプチド群を創製する基盤研究について平成27・28年度の成果を発展させるべく、以下の項目1)~4)により計画的に実施する。 1)細胞挿入活性を有するペプチド群の創製:ガン細胞の識別やタイピング解析を行えるシステムを構築するために、平成27・28年度に獲得した細胞挿入活性を有するCell Penetration Peptide (CPP)リガンド群のガン細胞等との相互作用をさらに解析する。ガン細胞に対して、より高細胞選択的、高細胞導入能を有し、低細胞毒性の高性能リガンドの創出を目指す。 2)細胞表層タンパク質と相互作用する糖ペプチド群を含むペプチド群のファージ提示法による創製: ペプチド提示ファージ法により、細胞表層タンパク質等をターゲットとし、これらと特異的に結合するαへリックスやβループ構造を有する糖ペプチド群を含むデザインペプチド群の合成を引き続き実施する。獲得したペプチド群と細胞表層タンパク質を含む細胞との相互作用を解析する。 3)ナノ粒子複合化による高機能ペプチド性ナノリガンド群の創製と細胞分析:上記で創製した細胞挿入活性ペプチド群や細胞表層結合性の糖ペプチド群を、金ナノ粒子等のナノ粒子と複合化させ、種々の細胞相互作用・識別能力を有するペプチドナノリガンド群を引き続き合成する。これら多様な細胞相互作用を解析し、ガン細胞等の状態の違いを迅速に識別・解析できるペプチドリガンド群とする研究を行う。 4)細胞相互作用ペプチド群を利用する細胞検査バイオチップへの展開:種々の細胞相互作用・細胞識別性能を有する機能性ペプチド群を用いて、細胞検査するためのバイオチップ開発への展開性を検討する。
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