研究課題/領域番号 |
15H03130
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田原 史起 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20308563)
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研究分担者 |
大澤 肇 中部大学, 国際関係学部, 講師 (00469636)
松村 史穂 北海道大学, 経済学研究科, 准教授 (50615953)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 都市=農村関係 / 県域社会 / 人的環流 / 中国 |
研究実績の概要 |
本課題の第二年目である平成 28 年度は,研究代表者および研究分担者が、特定の時期、特定の県域、および特定の問題領域に対象を絞りつつ、現地調査あるいは文献調査によるデータ収集を進めるとともに、ミーティングを通じて問題意識の再統合を行った。 第一に、研究代表者の田原は2016年7-8月に甘粛省西和県、同8月には貴州省晴隆県において県域を跨いでの人的環流に関する現地調査を行った。その中で、現地の農民らによる子弟の教育を目的とした県域内、あるいは県域を跨いでの移動が近年活発化しており、そこに私立学校の設立ラッシュや、政府の側の「都市化」政策が複雑に絡みつつ展開している状況が見出された。今後、深めていくべきトピックとして注目される。また研究分担者の大澤も,2016年9月と2017年1月に広西省南寧で県域社会に関する文献調査を行ったほか、2016年11月は同省靖西県において現地調査を行った。これら現地調査の記録は映像資料とともにコンピュータに取り入れてデータベース化した。 第二に、ほぼ月に一度のペースで研究会を開催し、互いに問題意識を鍛え合う作業を行った。県域社会に関する重要な先行業績である、樊紅敏『転型中的県域治理:結構、行為与変革─基于中部地区5个県的個案研究』や賀雪峰『城市化的中国道路』などを輪読した。同時に、本課題から支出して派遣され、浙江省の仙居県での高齢者福祉に関する調査研究を実施したゲスト・スピーカーを招いて、「県域に生きる人々が現地及びその周辺で得られる各種の資源を用い、どのように高齢者ガバナンスの問題を解決しているのか」という視角を学ぶ事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、研究会の頻繁な開催によりメンバーの間で問題意識の共有されまた深化してきている。第二に、現地調査も軌道に乗り始めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成 29 年度は,①まだ不足しているデータを補完するために,現地調査を前年度と同様のペー スで実施する。そのうえで,②初年度に選定した県域社会の基本データに,各自の取り上げるト ピックに関するデータを突き合わせ,それぞれの人的環流の傾向性について分析を行う。さらに, ③年内に 4 回程度,研究会を開いて意見交換を行いつつ,ケース・スタディの執筆に取り掛かる。
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