研究課題/領域番号 |
15H03131
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 均 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50154844)
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研究分担者 |
森 千香子 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10410755)
一政 史織 (野村史織) 中央大学, 法学部, 教授 (20512320)
佐原 彩子 大月短期大学, 経済科, 助教 (70708528)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 移民 / エスニシティ / 少数者 / 排外主義 / 米国・カナダのアジア系 / ヨーロッパのムスリム / 在日韓国朝鮮人 / ヘイトスピーチ |
研究実績の概要 |
1)研究会 理論研究会2回、調査報告会を2回実施し、調査結果を共有するとともに理論構築を進めた。 2)海外調査 移民受入地北アメリカで2回、同じく西ヨーロッパで2回、移民送出地東アジアで3回にわたって実地調査を実施した。a)北アメリカ:(1)研究代表者高橋が平成28年8月20日~29日にカナダ東部のケベック・モントリオール・トロントで現地の多文化状況と中国系移民受入について調査を行い、チャイナタウンや公共交通機関の利用者を観察した。(2)連携研究者遠藤が平成30年3月7日~15日に米国ワシントン連邦区でエスニック居住地区の調査を行った。b)ヨーロッパ:連携研究者増田一夫が(1)平成28年9月30日~10月4日にドイツでイスラーム移民排斥運動についての調査を行い、現地研究者と連絡をとった。(2)同じく増田が平成29年8月29日~9月13日にドイツのベルリン・ライプツィヒ、フランスのストラスブール・パリで移民集住地区の調査を行った。c)東アジア:(1)連携研究者谷垣真理子が平成28年7月23~27日に厦門で移民送出の現状を調査し、現地研究者と連絡をとった。(2)同じく谷垣が平成30年3月11日~16日に香港で移民留守家族の聞き取り調査を行った。(3)連携研究者外村大が平成29年3月12~17日に韓国ソウル市で、延世大学図書館・ソウル国立大宅図書館・韓国映像資料院資料室等で資料調査を行った。 3)国内調査 連携研究者外村が3月5日~7日に札幌で札幌大学図書館所蔵の「松本克平スクラップブック」を閲覧し、朝鮮芸術座(1935年創立)を始めとする在日朝鮮人の演劇活動についての情報を収集した。 4)書籍・資料収集 移民・ホスト社会編入・エスニシティ間関係の理論及び実態に関する内外の文献資料を探索・収集し、東京大学総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター図書室・研究代表者高橋の研究室などに収蔵した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年計画の2年目を終えてほぼ予定通りに進捗している。1)研究会・資料収集 理論研究会を重ね新しい研究業績を読むことで浮かび上がったのは、移民の世代交代とともに進む同化を通じての適応過程が現在もなお機能し続けている一方で、国際移動・通信の低廉化により移民の故郷との紐帯が維持されるトランスナショナリズムという新展開が起こっており、その間の緊張関係がどこで折り合うかは、事例ごとに予断を許さないという認識であった。2)現地調査 北アメリカでは華人の居住地区を観察し、とりわけもともとフランス系住民との間に多文化状況があるカナダにおける受入状況に着目した。ヨーロッパではムスリム移民の居住地区を見るとともに、移民排斥を掲げるポピュリズム政治運動を調査した。東アジアでは華人を中心として留守家族・里帰り集会に着目した。
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今後の研究の推進方策 |
1)研究会・資料収集 引き続き理論研究会を重ね、調査報告会を通じて情報を共有していく。平成29年度には国際シンポジウムを共催し、講演会を実施したい。2)現地調査 北アメリカは調査地を西海岸に移して同様の調査を実施する。ヨーロッパでは移民居住地区を見るとともに難民受入状況を視察する。東アジアでは留守家族・里帰り集会を中心に調査する。
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