研究課題/領域番号 |
15H03148
|
研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
竹安 栄子 京都女子大学, その他部局等, 特命副学長 (70131414)
|
研究分担者 |
井上 守正 兵庫県立工業技術センター, 材料・分析技術部, 部次長 (20470247)
吉田 和利 兵庫県立工業技術センター, 技術企画部, 主任研究員 (40470249)
春日 雅司 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (90152660)
加藤 雅宣 兵庫県立農林水産技術総合センター, 農業技術センター, 上席・主任研究員 (00463357)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 日本酒文化 / ツーリズム / 地域振興 / 酒造メーカー / 酒蔵ツーリズム / 農村ツーリズム / 観光振興 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、1.兵庫山田錦生産者調査と2.ウィスキー・ツーリズムの追加調査、3.全国酒造メーカー調査結果の分析と論文執筆、4.市民調査のデータ化の4点であった。 1.兵庫山田錦生産者調査 ①調査対象:JA兵庫六甲、JAみのり、JA兵庫みらいの3社が把握する山田錦生産者約5,500人の内、三田営農センター管内の農家を除く計5,107人を対象とした。②調査方法:JA3社の協力の下、調査票を配布した。送付方法は、JA兵庫六甲とJAみのりは郵送(9月10日発送)、JAみらいは農業普及員による手配り。回収は同封の返信用封筒(料金受取人払い)で研究代表者宛への直送。③回収状況:返送締切は9月30日としたが、その後の返送分についても可能な限り集計に含めた。2017年2月末日の回収数は2516票(回収率49.3%)であった。④2016年度の予算でコーディングの約8割を終了。データクリーニングおよびデータ入力は、2016年度研究費が不足したため、2017年度に実施する。 2.スコットランドにおけるウィスキー・ツーリズムの追加調査 当初計画では、本年度はイタリアとドイツのワインツーリズムの現況調査を実施する予定であったが、山田錦生産者調査費が、予定の2倍以上に膨らんだため、実施を断念した。それに代わり昨年度実施したスコットランドの補充調査を研究代表者が行なった。今年度はCampbeltownとLowland地域の蒸留所を訪問し、併せてTossachs国立公園内のツーリズムの現況を視察した。Campbeltownにはかつて40近い蒸留所があったが、現在は3か所(実質2か所)に衰退している。しかしツーリズムの展開で蒸留所も活気を取り戻している状況は日本の清酒産業界にも大いに参考になる事例であった。 3.2015年度に実施した全国酒造メーカー調査結果の分析を元に、分担者と共同で論文を執筆し刊行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、1.生産者・生産組織、JA、酒造関係者への聞き取り調査、2.山田錦生産者の調査票調査、3.山田錦の温暖化対策の聞き取り調査、4.酒造業者への調査票調査の補充調査、5.ツーリズムビジネスモデル策定のための実地調査、6.研究会の開催の6項目を計画していた。 2の調査票調査の計画段階では調査票の配布を、JAみのり、JAみらい、JA兵庫神戸の3社、ならびにその傘下の営農組合の協力を得て、JAの配布物と一緒に送付する予定であった。また回収も、各集落の農会長を通じて営農組合毎に回収することにより、配布と回収に要する郵送費を削減できる予定であった。しかし、一部地域で農業普及員により調査票を手配りすることができた以外、調査票送付の大部分と回収の全てが郵送となった。 山田錦生産者に対する調査票調査そのものは回収率約50%を得て、ほぼ成功したといえるが、 以上の理由から、平成28年度の研究費の大半をこの調査票調査に費やすことになったため、本年度の調査実施計画を大幅に修正することを迫られた。 1については兵庫全農およびJAみのり、JAみらい、JA兵庫神戸の山田錦担当者に平成28年度産山田錦の作付ならびに生産状況について聞き取ることができた。3については、2の調査票調査の中に、温暖化に関する質問項目を加えたので実施しなかった。4の補充調査は実施しなかったが、平成27年度に実施した酒造メーカー対象の調査票調査結果の分析を行い、研究分担者と共同で論文を発表した。5については、前年度のスコッチウィスキー蒸留所調査では明らかにすることが出来なかった、条件不利地での蒸留所を核とした地域・観光振興の成功事例の現地調査を実施した。 以上のように、山田錦生産者調査のデータ化に遅れが生じていることと、ビジネスモデル策定のための実地調査が実施できていないが、いずれも平成29年度に実施する計画である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究最終年である平成29年度は、昨年度実施した山田錦生産者調査結果の分析とそれに基づく生産者の技術指導プログラムの検討を実施する。このために、山田錦生産の研究者では第1人者である兵庫県立農林水産技術総合センター・農業技術センター・研究主幹の池上勝氏を連携研究者として研究組織に加える。 平成27年度に実施した酒造メーカー調査結果から明らかになったことであるが、酒蔵を資源としたツーリズムの構築の意義についての理解が、酒造メーカーの間に計画段階の想定以上に浸透していない。このため、当初からの本研究の重要な目的であった、ツーリズムによるビジネスモデルを自治体および酒造メーカーを共同して提案するには、まだまだ乗り越えるべき障害が多いことが明らかとなった。このため当初計画を縮小して、本年度に播磨地域をモデル地域として、姫路市、播磨広域機構、さらに神姫バスと共同で試行的な酒蔵ツーリズムのプランを提案し、試行することを目指す。 また研究成果の社会的還元の一つとしてシンポジュウムの開催を計画していたが、研究費の不足から実施がかなり難しい見込みである。しかし研究成果は年度末までにWeb上で公開するとともに、研究成果報告書の印刷を予定している。
|