研究課題
我々が到達した個性概念テーゼは、「ロボットが<個性>をもつとは、それが<道徳的な行為主体 moral agent>であるということであり、道徳的行為主体であることは、他の何者も代替できない責任を引き受けるということであり、そのためにロボットは他者が経験しえない内面世界をもたねばならない」、ということであった。我々は、2018年9月にパルマ(スペイン)で開催された国際学会(第19回 AIPO)において、このテーゼと、それを経験的なレベルで補強するインタラクション実験の初次的結果を発表した。この実験は、人がロボットと行なう身体的同調動作が、ロボットへの道徳的判断の帰属にどのような影響を与えるのかを定量的に調査するものである。身体的同調課題に対して、我々は、対に配置された2つの回転ハンドルを対面もしくは背面で回すことのできる実験装置を開発した。また、道徳性評価の課題に関しては、既に定評のあるトローリー課題と、独裁者ゲーム課題及び最後通牒ゲーム課題を組み合わせた。我々は、人どうしの対面/背面条件、および人とロボットの対面条件での実験を実施した。その結果、人とロボットの実験において、回すハンドルの同調度は他の条件に比べて最も高くなり、トローリー課題での道徳的に問題視される行動に対しては、人どうしでの背面条件と同程度に「問題があり、かつ責任がある」と回答する傾向が見られた。人どうしの背面条件と同程度の傾向となったことは、ロボットが単に合理性のみを持って判断する存在として評価されたのではないことを示唆している。他方、お金の分配においては、ロボットに対する対応は、一般の人間に対する対応と同傾向を示した。これらの結果は、人間がロボットを道徳的な主体として捉える萌芽を表している。我々の哲学的仮説を具体的な実験結果によって検証する道を拓いたこと、これが、本プロジェクトの最も大きな成果である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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