研究課題/領域番号 |
15H03154
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
平井 靖史 福岡大学, 人文学部, 教授 (40352223)
|
研究分担者 |
杉村 靖彦 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20303795)
合田 正人 明治大学, 文学部, 専任教授 (60170445)
安孫子 信 法政大学, 文学部, 教授 (70212537)
檜垣 立哉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70242071)
藤田 尚志 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (80552207)
金森 修 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (90192541) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 哲学 / 意識の科学 / 時間論 / 神経科学 |
研究実績の概要 |
2015年度の国際シンポジウムにて打ち出した新しい研究の方向性は、フランス人研究者たちの力強い賛同を得、彼らによるマニフェスト文として結実した。2016年度では、これを収録する日本語版論集の編集を迅速に進め、秋の国際シンポジウム前の刊行にこぎ着けた(平井靖史・藤田尚志・安孫子信編著『ベルクソン 『物質と記憶』を解剖する』書肆心水)。発表原稿のみならず、上記マニフェスト、解説的コラム、リプライ論文などを完備することで、狭義のベルクソン哲学研究の範疇に閉じることなく、広く学際的な関心を引き込めるよう努めた。 11月には第二弾となる国際シンポジウムを開催し、前年度に引き続き中心的人物としてバリー・デイントンを招いたほか、神経科学や人工知能の分野からも積極的に招き入れ(ジャン=リュック・プチ、兼本浩祐、太田宏之、デイヴィッド・クレプス)、思想史的・テクスト内在的読解(カミーユ・リキエ、藤田尚志、檜垣立哉、村山達也)、また応用的展開(ユリア・ポドロガ、マイケル・R・ケリー)との融合を試みた。前年度の議論を受け継ぎつつ、非ベルクソンニアンのみならず非哲学の分野からも論者を巻き込むことでより各論的な掘り下げを行うことが出来た。 また、次世代の育成への布石とすべく、新たに「若手セミナー枠」として、6名の博士課程などの若手研究者の外国語による発表の機会を設けた。 2015年度に引き続き、2016年度も論集の刊行を決定し、すでに編集作業も佳境に入っている。外国人(ケリー)にもコラム執筆に積極的に協力いただき、9月には出版の予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
先述の通り、第一回の国際シンポジウムは予想以上の成果を収めたのみならず、マニフェストの存在により、「拡張ベルクソン主義」という旗印が定まったことで、より参加者の方法論的な問題意識の足並みが揃ったおかげで、ダイレクトに争点の共同的批判的究明の作業に入ることが出来、シンポジウムでの討議は非常に充実したものとなった。 シンポジウム終了後も、迅速な刊行のための原稿の修正など、多くの点で学術的な信頼関係に基づいた積極的な協力を得ることが出来、本研究の主題の一つでもある国際協働研究ネットワークの質的な増強を図ることが出来た。 また、出版社(書肆心水)の理解と協力により、普及しやすい形で第一段シンポジウムの論集を刊行することが出来たため、その後の学会・研究会・読書界などにおける研究普及活動において多大なメリットがあった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2017年度では、集大成となる国際シンポジウムの開催のみにとどまらず、限られた予算の中で最大限の効果を上げるべく、各種学会・研究会などへ積極的に進出し、このプロジェクトで得たあらたなモデルの認知度の向上に努める必要がある。すでに2016年度11月には山口大学時間学研究所主催ワークショップ、2017年4月には応用哲学会でのワークショップ、同4月にはエリー・デューリング講演を伴うワークショップを開催して、個別論点についての「拡張ベルクソン主義」的実践を展開している。6月にはデイントン執筆によるベルクソンのチャプターを収録した『ラウトリッジ時間経験の哲学ハンドブック』が刊行される。8月には国際理論心理学会でのワークショップ、2018年度にはケリーの誘いによりSPEP(現象学・実存哲学会)への参加、デューリングとミケル主催のパリでの拡張ベルクソン主義シンポジウムが予定されている。また、2015年シンポジウムの英語版論集の出版も準備中である。 こうした動きを集約する形で、最終となる国際シンポジウムの人選を進めている。すでに外国人ではベルクソン研究の第一人者であるフレデリック・ウォルムスとバリー・デイントンの参加が確定している。
|