研究課題
最終年度は、前年度までの事例研究と理論研究の総括を目標に、しかし、性急な一般論を導き出すのではなく、本研究の主要な研究対象である「神秘主義」概念についてこれまで行ってきた事例研究の再検討という形で研究を進めた。(1)これまで、本邦における「神秘主義」「神秘思想」理解の近代的被拘束性、西洋近代科学と宗教研究の相互差異化の過程、西洋宗教思想史における「神秘主義」概念の変遷、宗教についての学問的な理論化にとっての「神秘主義」の位置づけ、「神秘主義」言説の政治思想史的文脈等を明らかにしてきたが、それらを踏まえた上で、さらに複合的な理論的視座を構築した。①定例の研究会で、「古典的宗教学」における「神秘主義」理解の特徴を確認したうえで、20世紀以降この概念が新たに帯びるようになった、宗教思想形成を促す機能(学問的かつ宗教的に構築されてきたこの概念が逆に、学問的・思想的言説の契機となる)について理論的考察を行った。②本研究を遂行する過程で『宗教理論事典』(仮題)が構想され、宗教思想研究において特徴的な諸概念を提出してきた諸理論家を本研究課題の問題提起の下で捉え直し、単なる学説史叙述ではなく、近代的宗教研究の宗教性、近代的宗教の学問性という観点から描き直すことを目指し、具体的な理論家や概念等の選定を行ってきたが、先述の新たな知見(構築された概念を契機にさらに思想形成が促進されていく)に基づき、これまでの作業を再検討しつつ、「宗教思想」を分析し、論ずる際の方法論的・理論的視座を確認する作業を行った。(2)海外共同研究者の都合で昨年度中に実施できなかった国際シンポジウム(2015年度秋期に実施した国際シンポジウムの継続企画)を2019年3月に東京で実施し、本研究課題の総括的成果の一部を公表し、海外共同研究者と個別研究発表の内容、ならびに理論的考察と方法論に関する問題についての議論を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件、 招待講演 12件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (2件)
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http://doi.org/10.14943/85640