研究課題
最終年度には、計画通り国際シンポジウム「ドイツ近代芸術におけるディレッタンティズム」を10月27日、28日の二日間で開催することができた。本科研の研究メンバー7名は、それぞれ、これまでの成果を発表までにまとめ、三年間の研究の総括となる素晴らしい成果を発表してくれた。このシンポジウムには、これまでの調査旅行で学術的な交流のなかで貴重な意見をくれたヴァイマル古典財団のトルステン・ファルク氏、ヤナ・ピーパー氏、ミュンヘン中央美術史研究所所長のウルリヒ・フィステラー氏、ドレスデン国立美術館のコルドゥラ・ビショッフ氏の4名を財団等の助成金を得て招聘することができた。いずれの発表も、本研究の方向性の正しさを明らかにしてくれるだけではなく、視野を広げてくれる重要な見解であった。本研究の学際的な特徴を生かしたシンポジウムは、美術史だけでなく音楽、文学、教育学に関する分野にまたがっていたこともあり、初日には95名、二日目には102名と、大盛況のなか大変意義深い討論が繰り広げられた。特に、二日目には大角欣矢氏の研究テーマであった18世紀ヴァイマルの代表的なディレッタント、アンナ=アマリア公妃が作曲したジングシュピール「エルヴィンとエルミーレ」の日本における初演は、日本の音楽学研究史において重要な一頁となるだろう。シンポジウムの最後には、三年間の研究を総括するように、ディレッタントとは狭い領域でのみ活動する専門的芸術家とは異なり、幅広い芸術活動を通じて、因習や伝統にとらわれない新しい芸術を作り上げる役割を担っていることが見えてきた。それゆえ、現代の芸術家の目指す理想的モデルが、この時代のディレッタントにあるのではないかという結論に至ったのである。本シンポジウムは、研究者だけでなくアーティストにも新しい視点を提供する結果となり、参加者からも高い評価を得ることができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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