研究課題
本研究は、未解読楽譜研究のフレームワークを作ることを目的としている。本年度の成果は次の4点である。1)編集ソフトウェアの改善:前年度に続き、異なる種目の未解読楽譜に共有される譜字及び解読データを検索するシステムの設計に取り組んだ。前年度に制作したソフトウェアを用いてデータを入力するとともに、編集ソフトウェアの評価を行なった。この結果を踏まえてソフトウェアの改善を図った。主な改善点は、楽譜編集画面において、付帯譜字枠内の記号を、縦のみならず横や斜めに複数入力できるように改善したことである。また、曲線記号を番号、名前、キーワードにより検索する機能、楽譜編集画面において複数のセルを矩形選択し別の分析データにコピーする機能、譜字枠に複数の文字を入力し枠からはみ出るときに枠に入るサイズまで自動的に縮小する機能を付加した。2)曲線記号譜字の入力の自動化:比較的単純な未解読譜字である胡麻点の分類を自動化するシステムを制作した。譜字の画像データに細線化を施し、ハフ変換等を用い直線を検出し分類した。分類基準を明確にするための定量的な指標を定めた。3) 曲線記号の組合せ文法の考案:複雑な曲線記号を、簡単な直線と曲線の組合せにより記述するための、曲線記号の組合せ文法を考案した。4)分析方法の検討:三味線譜、雅楽譜、平家琶定譜、声明譜、能楽譜を中心に、入力対象とする未解読楽譜を調査した。また、これらの未解読楽譜にみられる曲線記号の分析方法を検討した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。