研究課題/領域番号 |
15H03187
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大石 和欣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50348380)
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研究分担者 |
田中 裕介 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00635740)
山口 惠里子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20292493)
アルヴィ なほ子 (宮本なほ子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20313174)
ディヴィッド ヴァリンズ 広島大学, 文学研究科, 教授 (70403623)
川端 康雄 日本女子大学, 文学部, 教授 (80214683)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロマン主義 / 異文化交渉 / 帝国主義 / 旅行記 / グローバリゼーション / ヴィクトリア朝 |
研究実績の概要 |
平成27年度は科研開始初年度であり、当初の計画通り異文化交渉のさまざまな位相について大石が中心となってロマン主義時代の文学におけるパターンの基礎研究と分析を行うと同時に、分担研究者それぞれがテーマと役割にしたがって後の時代の個別ケースの調査研究を進めた。 年度の前半は、イギリス帝国主義の拡張とともに顕著になった異文化交渉の現象をロマン主義文学の中で精査し、分類と理論化を試みた。異文化交渉の現場で付随する支配・被支配というヒエラルキーを形成する政治的力学がどのようにこの時代の旅行記や関連言説のなかに埋め込まれているかを調査・分析しながら、19世紀の文学言説のなかにそのパターンを探っていった。旅や移動に伴い発生する異文化接触の現場は流動的であり、文化的ヒエラルキーさえも常に逆転されうる不安定なものとして浮かびあがらせながら、「異」なるものの描写や表現に、共感、憧憬、反発のみならず、グローバル化そのものへの批判的視線や抵抗、不安が潜んでいることが明らかにしつつある。これは次年度にも研究を継続することとなる。 後半に各研究分担者によって進められた研究では、ラスキン、ラファエル前派、ラフカディオ・ハーン、明治期における日本のロマン主義文学のなかに異文化交渉の位相を探り、それと上述のロマン主義における異文化交渉の位相との比較・考察を歴史的文脈のなかで行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロマン主義時代における異文化交渉の位相のパターン自体については膨大な資料のために調査・解明に遅れが見られるものの、19世紀、20世紀における個別ケース研究においては順調に研究が進められ、成果が見られる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果については次年度に研究会等で検証・吟味するとともに、少しずつ活字として発表していく。また、4年目の国際シンポジウムについても準備を開始する必要がある。
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