研究課題/領域番号 |
15H03189
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研究機関 | 名古屋経済大学 |
研究代表者 |
川津 雅江 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (30278387)
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研究分担者 |
植月 恵一郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (10213373)
成田 雅彦 専修大学, 経営学部, 教授 (00245953)
小口 一郎 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (70205368)
金津 和美 同志社大学, 文学部, 准教授 (90367962)
吉川 朗子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60316031)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 英米文学 / 環境文学 / エコロジー / 環大西洋 / トランスアトランティック / ロマン主義 / アメリカンルネサンス / ポストヒューマン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、英米ロマン主義時代の環境文学・思想の環大西洋的相互作用を分析し、現代の環境文学やエコロジー思想に至る史的推移を解明することである。本年度は、本研究の基盤を築くことに重きをおいた。 1.三つのサブテーマを設定し、本年度は特に下記トピックに関して関連資料を収集するとともに考察を進め、研究成果の一部を学会発表や論文公表した。【1.環境倫理思想・生命理論の環大西洋的相互作用】環境と核の場所の文学の関係、超絶主義者の環境意識とヨーロッパ思想との関連、Coleridgeの自然観からアメリカの超絶主義的自然観への受容、現代オセアニア文学と英ロマン主義における物質的自然と芸術家主体の呼応関係、ロマン主義的菜食主義思想の波及。【2.自然地保護思想の環大西洋的相互作用】景勝地保護運動におけるWordsworthを介した英米の相互影響関係、Poeの作品における全地球的な環境恐怖。【3.英米ロマン主義とポストネイチャー/ポストヒューマン思想】material ecocriticismの観点からのWordsworth作品解読、アメリカンルネサンス文学におけるポストヒューマン的自我表象の探索、James Hogg の作品を災害文学として解析。 2.平成27年9月4日(於大阪大学)に講演:伊藤詔子「戦後70 年とエコクリティシズム―American Prometheus, Robert Oppenheimer と英米文学」と、特別講演:招聘講師・竹内勝徳氏「長期的共鳴作用としての独立革命―ホーソーンとメルヴィルの環大西洋的想像力を中心に」、平成28年3月14日(於同志社大学)に研究会(吉川朗子「ナイアガラの保護活動と英国湖水地方での鉄道敷設反対運動」と植月惠一郎「ポーの『ウィサヒコンの朝』をアレゴリアカルに読む」)を開催した。 3.ホームページを開設し、講演会・研究会の告知や配布資料を公開。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、これまでの共同研究や個人研究の成果と課題、最新のエコクリティシズムの動向を踏まえた上で、本科研の研究目的と当初の研究計画通り、各自研究を遂行するとともに、サブテーマ【1】と【2】について公開講演会と公開研究会を開催し、研究成果の一部を広く社会に還元することができた。また、招聘講師による公開講演会では、トランスアトランティック研究の知見を得ることができ、今後の研究推進に大いに役立った。さらに、運営委員会を年3回行い、今後4年間の研究計画と役割分担、研究方法を確認した上で、本年度の研究会や来年度の海外研究協力者の招聘などについて審議した。それに基づいて海外研究協力者との連携準備も滞りなく行うことができた。以上の理由で、研究の進渉状況は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の2年間は、前年度の研究を基盤としながら、独創的な視点を探りつつ研究を進め、最終年度(平成30年度)における総括の礎を築く。 平成28年度の予定は以下である。 公開研究会を年2回開催し、主要文献情報を共有しながら、サブテーマ【1】と【3】について研究経過報告を行う。また夏に、ASLEの創始者・ISLE機関誌編集長のScott Slovic (University of Idaho, US)を招聘し、講演会を2回(うち1回はSES-J・MESAと共催)と、エコクリティシズムの動向に関する公開セミナーを1回開催する。その他、イギリス・ロマン派学会主催のトランスアトランティック・ロマンティシズムをテーマとしたシンポジウムに全面的に協力する。研究成果は国内外の学会で発表するとともに、主要学術雑誌や紀要に随時公表する。昨年度開設したホームページを年3回更新し、研究会の予定や研究成果などを公表する。 最終年度の平成30年度は、これまでの研究成果を整理・統合するとともに、各自英文の研究論文を作成する。相互レヴューを経て修正後、報告書を完成する。同時に邦文の学術書刊行の準備にとりかかり、平成31年度刊行を目指す。
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