研究課題/領域番号 |
15H03190
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
田口 まゆみ 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (30216832)
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研究分担者 |
徳永 聡子 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 助教 (60453536)
タイ ワンチェン 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 講師(非常勤) (10750416)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 英文学 / 中世 / 写本 / 校訂 / 15世紀 |
研究実績の概要 |
ヤコブス・デ・ウォラギネの著書『黄金伝説』(Legenda aurea)のウィリアム・キャクストンによる翻訳(The Golden Legend)のうち第1巻「キリストの生涯と期節(Temporale)」および第2巻「旧約聖書物語」の校訂テキストをEarly English Text Society(EETS)のシリーズ(Oxford University Pressが出版)として刊行するための準備を進めている。EETSは1864年に設立されて以来、古英語、中英語の作品の校訂本を英文学研究者に広く提供してきた。本『黄金伝説』はEETS念願の企画であり、大きな期待を寄せられている。なお日本人研究者のEETSシリーズ参加は本企画が初めてである。 準備作業は大きく①本文批評(転写と校訂)②ラテン語、フランス語、中英語による翻訳原典との比較③作品・ジャンル研究に分類できるが、①の作業は1巻2巻ともに全容の6割以上の初稿を完了し、②は1巻の8割以上、2巻は6割方が明らかになった。研究代表者と分担者および海外共同研究者は常に密な連携を保って作業を進めており、当初の計画をはるかに上回る順調な展開と言える。研究成果は逐次国際学会で発信し、高く評価された。関連論文の海外出版も決定している。引き続き口頭発表、海外研究者を招へいしたシンポジウムを複数企画し、国の内外で校訂出版企画と研究成果を発信する準備も進めてきた。また、研究代表者と分担者徳永聡子は2016年1月末に1次資料調査のためにロンドン、ケンブリッジ、オックスフォードの図書館で研究活動を行い、オックスフォードではEETSの監修者の一人であり『黄金伝説』研究の権威であるRichard Hamer氏(Oxford Univeristy)と面談し、研究上の貴重な助言を受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記のようにキャクストン版『黄金伝説』第1巻・第2巻の校訂テキストの準備作業は予想以上に順調に進んでおり、基本作業の6割以上を終えることができた。2016年度における研究への継続性も保っており、4月以降も高ピッチで作業が進んでいる。研究成果の発信も行い、好評を得ている。2016年度、2017年度における発表計画もたてている。国際学会での活動を通し海外の研究者との交流を深め、研究上の協力も受けやすい環境整備も進んだ。様々な面で最終成果の質の向上に向け、時間の余裕も生まれていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き校訂作業を進め、2016年度内に初期工程を完了することを目指す。翻訳原典との関係を明らかにするための研究を深める。これは1,2巻のみならず全巻についての調査に拡大する。研究成果の発信は2016年度において海外共同研究者の招へい発表(5月、日本英文学会)、国際学会発表(研究代表者、7月、Leeds International Medieval Congress)、海外研究協力者を招聘するシンポジウム(12月、日本中世英語英文学会)、国際学会発表(2017年3月、Medieval Translator学会、1ー2名派遣)を計画している。2017年度にも海外から第一線の研究者を招聘してシンポジウム発表を行う段取りを付けている。
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