研究課題/領域番号 |
15H03190
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
田口 まゆみ 大阪産業大学, 国際学部, 教授 (30216832)
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研究分担者 |
徳永 聡子 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (60453536)
タイ ワンチェン 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 講師(非常勤) (10750416)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 英文学 / 中世 / 初期印刷本 / 本文校訂 / 15世紀 / 聖人伝 / 聖書物語 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
ヤコブス・デ・ヴォラギネ作『黄金伝説』(_Legenda aurea_)を仏語訳を介してウィリアム・キャクストンが翻訳し、印刷・出版した_Golden Legend_のうち第1巻「キリストの生涯と期節 (Temporale)」と第2巻「旧約聖書物語」をEarly English Text Society (EETS, Oxford University Press)から出版することを目標とする研究企画である。 2017年度は、研究課題であるキャクストン版『黄金伝説』の校訂原稿作成作業を進めながら、国内外の学会で当該分野の専門研究者を招聘したシンポジウム発表を行った。これらの成果は次のようにまとめることができる。 (1)原稿執筆進捗状況:研究代表者(田口)、分担者(徳永)、海外共同研究者(スカヒル)のそれぞれがすべての工程に関わり、精力的に作業を進めた。2巻とも本文、注釈、語彙一覧等について第一稿を完成することができた。 (2)研究発表(学会):①5月、日本英文学会全国大会シンポジウム発表(Anne Hutchison教授、向井毅教授を招聘した)②7月、初期刊行本学会国際大会(Early Book Society)シンポジウム発表(John Scahill博士、Oliver Pickering博士を招聘した) (3)研究発表(論文):研究代表者(田口)は成果論文が_Editing and Interpretation_に掲載・出版された。研究分担者(徳永)は学会シンポジウム発表の成果を学術研究雑誌_Poetica_に特集執筆した。 (4)研究発表の成果:①研究成果を広く内外の研究者に発信しその重要性についての認知度を高めることができた。②招聘した研究者およびその他の多くの国際的研究者から、直接様々な助言と高度に専門的な知識を得ることができた。研究ネットワークを広げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上でも述べたように研究課題である校訂テキスト出版のための原稿執筆は第一稿を完成することができた。研究者間の連携は良好で、緊密な連絡を取りながら、出版社に提出するための第二稿に入っている。海外の研究者との連携も拡大することができた。研究成果の発信も、国内、国際学会でシンポジウム発表によって行った。いずれも該当分野の国際的権威である研究者を招聘することによって内容を高めるとともに発信力も高めることができた。また研究ネットワークの拡大に結びつけることができたので、研究課題の遂行のために貴重な助言を得ることができるようになり、30年度の招聘講演、31年度の国際シンポジウム計画も進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の完成(査読を受けるための完成原稿をEETSに提出すること)を2019年夏に定めた。そのために2018年度は原稿の第一稿を推敲し、第二稿を完成させることを第一の目標とする。このために2回の国際研究会議(9月:John Scahill 招聘;10月:A.S.G. Edwards 招聘)を日本で開催する。一方、一次資料(フランス、アメリカの図書館に所蔵されているキャクストン版『黄金伝説』の断片)の確認作業が若干残っているので、直接確認しなければならない。自ら確認に出向くことができない場合については各図書館の研究者に協力を依頼する。 研究期間の最終年2019年度には、本科研研究課題のように、中世の印刷本や写本を校訂して出版することにより、国際的に広く中世研究に寄与することの意義を発信するために、複数の専門研究者を招聘して国際シンポジウムを国内で開催する。
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