研究課題
今年度は村松真理子によってレオパルディ研究がすすめられた。まず、国際的な名声のあるレオパルディの専門家であるフランコ・ディンティノ氏を招聘し、作家が生涯を通じて記し続け、その思索と詩的言語生成の過程を写した膨大なノートであるZibaldone(雑記帳)についての貴重な講演をしていただいた。質疑応答もじつに活発なものとなった。さらに、村松は夏に国立レオパルディ研究所で開催された学会でレオパルディに関する研究発表を行った。他にも、新ブルガリア大学教授ボヤン・マンチェフ氏による「海」と哲学や詩の関係性をめぐる講演会、新国立美術館アシスタントフェローである横山由季子氏による画家ボナールと南仏の光についての講演会を開催し、研究課題に関する大きな進展を見ることができた。また、昨年度からの繰越金を用いた海外出張が平成29年11月に行われた(当初7月を予定していたが、再調整の結果11月となった)。この出張の収穫はかなり大きいものであった。まずオリヴィエ・カプラン氏に案内され、南仏サン=ポール・ド・ヴァンスのマーグ財団でジャコメッティの未公開作品をいくつか見せてもらい、マーグ財団とジャコメッティの関係についてなどインタビューできた。さらに、南仏の街グリニャンに住む詩人フィリップ・ジャコテさん宅を訪れ、彼自身のこれまでの道のりと南仏という場所について一時間半のインタビューを行うことができた。92歳の高齢でありながら、非常に明晰に話をしてくださった。このインタビューで戦後のフランス詩壇について多くの情報を得ることができた。この調査の成果は雑誌に発表する予定である。
2: おおむね順調に進展している
繰越金を利用した海外調査では予想以上の成果があった。とりわけ南仏で活動し続けたフランス語圏の代表的な現代作家フィリップ・ジャコテにインタビューできたこと、それから、マーグ財団で未発表のジャコメッティの作品(まだ本物かどうかの鑑定は終わっていないが、間違いないと言ってよい作品)を閲覧させてもらい、ディレクターのオリヴィエ・キャプラン氏へのインタビューできたことが大きい。その他、国内外の講演会ならびに講演に関連する研究会によって、多角的な研究ができた。
来年度は最終年度であるが、これまでの成果を連携研究者によって発表報告してもらう予定である。また、研究計画の構想当初にはなかった植民地、越境、ハイブリッドなどのテーマについて少し深めて研究を行いたい。
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中央評論
巻: 302 ページ: 57-69
未来
巻: 590 ページ: 2-9
現代詩手帖
巻: 60(4) ページ: 90-94
表象
巻: 11 ページ: 252-255
巻: 587 ページ: 2-7
巻: 588 ページ: 2-7
巻: 589 ページ: 2-8
NACT review : bulletin of the National Art Center, Tokyo : 国立新美術館研究紀要
巻: 4 ページ: 190-193