研究課題
基盤研究(B)
19世紀後半から現代にいたるまで、「南フランス」ならびに広く「地中海」という場所が、世界文化の中心地の一つである近代都市パリとの文化的・社会的・政治的な意味における緊張関係の中で豊かな文学・芸術作品を生み出してきたことを確認した。フランス文芸におけるモダニティ(近代)は、一枚岩的な都市文化ではなく、むしろそれに対する抵抗、回避、相互作用などの多様な仕方で展開された複数形のモダニティであることが明らかになった。
ヨーロッパ文学
現代フランス文学・芸術研究において、これまで「地方」や「地域」という視点から研究が行われたことは極めて少なく、行われたとしても対象地域の独自性やローカル性を明らかにするものであった。モダン都市ないしモダニティの首都と呼ばれるパリとの関係、さらには、植民地であったマグレブ諸国や近隣の地中海地域との関係を視野に入れることで、南仏や地中海沿岸地域がもつ複数のポテンシャルとその創造的なダイナミズムを確認することができた。