研究課題
当初の研究目的は概ね実現できた。現在公判中の冤罪の疑いが濃厚な事件に関して、弁護団より取調べ過程での会話の反訳、供述調書といった取調べ過程の膨大な資料の提供を受け、判例データベースから判例を拾い上げ、本研究活動に必要な資料を収集することができた。そして、これらの資料をもとに、諸外国とわが国の捜査機関で用いられている尋問方法と比較や、特定事件において判明した虚偽自白における尋問のあり方との対照を行うなど実証的な調査研究を実施した。特に、取調べ技法という捜査官(尋問者)の用いる言語使用や話法のあり方と供述者(被尋問者)の供述態度や回答の信用性の連関について、取調室での会話においては発現しているが、判決や供述調書に記録する段階では捨象されてしまう種々の発話行為および話者の意図を示す談話マーカー(特に終助詞)を言語分析班が同定した。そして、その分析結果を受けて心理学班が実験を通して実証し、さらに法学班が法学的検討を通して社会的実装に向けて提言を行った。また、研究代表者および研究分担者が関わる公開の研究会、単発の寄稿論文、国内・海外の学会での個別あるいは共同報告、本研究グループ主催のシンポジウム、内外での招待講演等で実施した。2016年には成城大学法学会の出版助成を得て、法律文化社からこれまでの学術論文を集大成した『被疑者取調べ録画制度の研究:可視化をめぐる法と諸科学』を刊行した。さらに、現在刊行にまで至っていない論文においても、本研究に関する研究成果を公表予定である。また、提供を受けた事件資料については、膨大であったため、未だ十分な検討をできていない部分があるが、今後の研究資源として、継続的に関連研究のさらなる発展を目指して活用していく予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (5件) 学会・シンポジウム開催 (2件)
International Journal for the Semiotics of Law
巻: 32 ページ: ?
刑事弁護
巻: 90 ページ: 65-68
季刊刑事弁護
巻: 89 ページ: 138-142