研究課題/領域番号 |
15H03225
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
侯 仁鋒 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (50551298)
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研究分担者 |
丸山 浩明 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00239162)
赤木 彌生 山口大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30346580)
齋藤 貴志 麗澤大学, 外国語学部, 助教 (30406665)
今井 新悟 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (50346582)
浅野 雅樹 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (70514131)
松岡 栄志 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90133115)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国語教育 / 中国語テスト / コンピュータ適応型中国語テスト / 中国語検定 |
研究実績の概要 |
1.研究開発の方向性と枠組みが明確化して確保された。研究チームの打ち合わせ(1回目)等により、コンピュータ適応型テストとは何かを全員が理解した上で、テストの構成(聴解・語彙・文法と読解の4部門)と各部門の問題アイテム数、および形式を決定した。システムに搭載できる問題アイテム数は、各部門少なくても100問で合計400問を確保する。形式は、すべて選択形式(4択)とする。また、コンピュータの特性を活かして、紙媒体では出題しにくい形式の創出、見せ方等を工夫して出題するという方針を固め、開発に取り組んだ。 2.アイテム開発チームを組織し、研究分担者に、アイテムライター(10名、中国語ネイティブスピーカー)が加わり、研修会・中間発表会を複数回開催した。アイテムの方向性と質を確保するため、発表会(聴解は3回、読解は2回)での討議・検討を重ね、聴解・語彙・文法・読解の4部門とも、それぞれ200問、合計800問を作成した。 3.解答データを取得するため、プレテストを実施する。そのため、研究チームの2回目の研究打ち合わせにより、準備したアイテム800問から456問を選出して、難易度別に易3セット、中3セット、難2セットに分けたように、プレテストを8セット構成した。テストの性格上、各部門に同一数のアンカーを入れた。 4.資料収集を兼ねて訪問した中国大連外国語大学中国語学院で、日本人中国語学習者を含めて、11カ国の中国語学習者、計81名を対象に事前のテストを実施した。その解答データを分析したところ、困難度と識別度の面で、開発したアイテムは良質であることが分かった。 5.上述の作業を踏まえ、論文1本「コンピュータ適応型中国語テストの開発について ──語彙問題アイテム開発を例にして──」を『日中語彙研究』に発表した。上述した通り、本年度の主な研究成果は、問題アイテム項目の研究開発である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究分担者のうちの二人は、先行研究(科研課題)として、本研究のシステムの開発者であり、その説明などにより、コンピュータ適応型中国語テストはどういう仕組みか、それに適合した問題アイテムは何かを研究チーム全員がよく把握した。 2.研究分担者に、アイテムライター(10名、中国語ネイティブスピーカー)が加わり、研修会・発表会を複数回開催した。これにより、予定より数量的に多く質的にも高いアイテム項目が作成できた。 3.アイテム項目は、チーム内部で検討したうえ、さらに外部の中国語教育専門家によるチェックを実施した。これにより一定の評価を得て、修正も加わり、テストとしての妥当性、信頼性が高まったと考えられる。加えて、カラーイラストの使用、アナウンサーによる聴解録音など、問題アイテム項目の完成度が高く、1年目に予定した計画はほぼ達成された。 4.事前のプレプレテストを実施して、アイテム項目の質が確認できたし、同時にその結果分析と検討・修正の方法が確保できた。この点で、次年度での大規模プレテストの実施に当たっての準備に有効であった。
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今後の研究の推進方策 |
新年度(2年目)の主な目標と課題は以下の三つである。 1.プレテストの実施。安定したデータを獲得するため、1セット当たり、少なくとも200名の受験者が必要である。そのため、プレテストの実施は、国内と海外の中国語学習者を対象に、国内では研究分担者の所属大学数校を中心とした複数の教育機関で、海外では大連・西安・上海など外国人向け中国語教育において高い評価を得ている教育機関で実施する予定である。プレテストは8セットを用意し、受験者は全体としては2000名近くを想定する。紙媒体によるプレテストではあるが、一定の人数・時間・場所を確保した上、受験者には本テストと同様な環境・状態で受験してもらうように工夫する。 2.解答データの解析。プレテスト実施後、解答データを項目応答理論に基づき解析して、アイテム項目のパラメータを算出する。パラメータが付与されたアイテム項目をアイテムバンクに格納する。この仕事は膨大な量で、経験豊かな専門人材が必要である。この作業は主に、分担者今井の研究室を中心に進める。 3.アイテム項目の追加。プレテストの結果を検証し、難易度の分類を予想して、さらに2セット分のテストをまとめる。結果分析データから、利用に際して思わしくないアイテム項目が出た場合、数量質量から適切なアイテムを確実に確保するためである。1年目の検討において、内部外部の評価でアイテム項目が全体としてはやや難しい傾向にあるという指摘もあるので、難易度の高くない2セットを追加で開発する。
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