研究課題
主として次の点について実証的、理論的に検証を行った。第二言語(外国語)としての英語の学習法であるシャドーイング(shadowing)において、モデルとなる話者の顔の動画(唇の動き)とモデル音声を同時提示(「動画+音」)した場合と、モデルとなる話者の顔の静止画とモデル音声を同時提示(「静止画+音声」)した場合を比較して、シャドーイング時の顔動画に対する眼球運動(停留箇所、停留時間等)にどのような差違がみられるか検討した。その結果、以下の結論が得られた。(1)シャドーイング時に顔動画のどこを注視していたかについて眼球運動視線分析を、モデル話者の(a)額、(b)目、(c)鼻、(d)口元、(e)顎に分割して検討したところ、顔の静止画では目に対する、動画では口元に対する注視数(停留数)が有意に多いことが判明した。このことから、人は静止画の顔を見るときは、「目は口ほどにものを言う」と古来言われる通り、まず目をみていることがわかる。しかし、顔動画をみながらのシャドーイングでは口元に対する注視数(停留数)が多くなることがわかった。(2)英語シャドーイングにおいて、モデル音声を発している話者の顔動画(口元の動きなど)をモデル音声と同時提示した場合は、同じ話者の静止画を呈示しつつモデル音声のみを音声提示した場合と比較して、シャドーイングの再生率が有意に向上した。(3)シャドーイングの再生率は、顔の中でも、特に上記(c)の鼻付近を見ているときに、動画が静止画よりも有意に上昇することが判明した。これは、(c)鼻に眼球中心窩をもってくることで、(b)目や(d)口元の両方を同時に見ているときに、シャドーイングの学習効果が大きくなることを示唆するものである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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JACET Kansai Journal
巻: 20 ページ: 69-80