研究課題/領域番号 |
15H03246
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
藤實 久美子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (90337907)
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研究分担者 |
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60251477)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 戊辰戦争期地域情報論 / 木版刊行物 / 官版日誌 / 書誌データ / 史料学 / フルテキスト検索化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戊辰戦争期(慶応4=明治元[1868]年正月~明治2年5月)の官版日誌類の調査を通じて史料学を確立し、当該社会の情報空間の状況を解明することにある。なお、本研究でいう官版日誌類とは、太政官日誌・江城日誌・鎮台日誌・鎮将府日誌・東京城日誌・行在所日誌である。 平成27年度は、(1)合同現地調査を2回実施した。第1回は9月1日・2日神奈川県奈倉哲三文庫と横浜開港資料館での調査であり、第2回は2月10日京都同志社大学今出川図書館、龍谷大学図書館、京都大学谷村文庫、2月12日京都府立総合資料館での調査である。調査後、現地調査報告書を分担執筆し、WEBクラウド環境を用いて共有化した。(2)合同調査に合わせて研究会を開催して、研究方針・分担・計画を議論し、各自が得た情報の共有化をはかった。3月にミニ・ミーティング(於東京大学史料編纂所)を開いて年度成果と今後の方針について意見交換した。(3)2月9日公開研究会「板木観察と出版研究」(講師・金子貴昭・立命館大学准教授、コメンテーター・研究代表者藤實久美子、於立命館大学アートリサーチセンター)を開催し、研究成果を公表した。公開研究会の様子は本科研WEBページで公開している。(4)個別現地調査として慶応義塾大学図書館での調査、横浜開港資料館でのフォローアップ調査を実施した。調査後、現地調査報告書を作成して共有化した。(5)調査カードを修正した。(6)現地調査の成果を反映した『太政官日誌』諸本比較表の改訂準備を進めた。(7)10月以降、官版日誌類の記事概要一覧プロジェクトと『太政官日誌』通巻304号までのフルテキスト検索化プロジェクト推進のために、底本の編者・橋本博および著作権についての調査を進め、作業日程と分担を協議して決定した。(5)~(7)は継続予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年9月の研究会での協議の結果、計画修正を行った。すなわち、官版日誌類の記事概要一覧プロジェクトと並行して、新たに『太政官日誌』通巻304号までのフルテキスト検索化プロジェクトを推進する。 これを受けて、底本『維新日誌』の編者・橋本博および著作権・静岡郷土研究会についての調査を国立国会図書館・静岡県立中央図書館等に問い合わせながら進めているが、いまだ不分明である。 本科研のプロジェクトが行う利用行為は、『維新日誌』全20巻のうち3巻のみを対象として、情報解析を目的としたコンピューターによるテキスト抽出と検索可能状況を作成するものである。これは著作権法第47条7項から9項に掲げられた、著作権制限によって著作物の利用を可能とする、例外規定に則ったものと認識している。 ただし、橋本博の著作権満了時期の確定ならびに遺族・関係者連絡先の調査については、道義上、本科研で継続的に行うものとし、判明次第、本プロジェクトの趣旨説明を行い、了解を得られるように準備を怠らないものとする。
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今後の研究の推進方策 |
原則として平成27年度の計画を踏襲し継続する。 (1)官版日誌類の所在状況を把握する。(2)現地調査を実施する。各日誌について標準書誌を保持する史料を確定して、諸本比較を行う。(3)官版日誌類の調査方法を構築する。(4)官版日誌類の記事概要一覧プロジェクトを推進する。(5)『太政官日誌』通巻304号までのフルテキスト検索化プロジェクトを推進する。(6)データ分析を行い、新たな発見を学界に提供する。(7)各自研究を進めて、官版日誌類の作成・交付・流通・受容・蓄積および購入・利用の諸相という史料のライフコースの視点から、戊辰戦争期社会の情報空間の状況を解明する。(8)研究会を2回実施する。(9)公開研究会を開催する。(10)底本『維新日誌』の編者・橋本博および著作権・静岡郷土研究会についての調査を継続する。
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