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2016 年度 実績報告書

毛沢東伝に関する総合的考察

研究課題

研究課題/領域番号 15H03251
研究機関京都大学

研究代表者

石川 禎浩  京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10222978)

研究分担者 高嶋 航  京都大学, 文学研究科, 准教授 (10303900)
小野寺 史郎  埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40511689)
村上 衛  京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50346053)
森川 裕貫  京都大学, 人文科学研究所, 特定助教 (50727120)
田中 仁  大阪大学, 法学研究科, 教授 (60171790)
丸田 孝志  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70299288)
武上 真理子  京都大学, 人文科学研究所, 客員准教授 (70636795)
江田 憲治  京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80176768)
瀬戸 宏  摂南大学, 外国語学部, 教授 (80187864)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード毛沢東 / 中国近現代史 / 中国共産党 / 伝記
研究実績の概要

2016年度は、研究分担者の協力を得て2015年4月に発足した毛沢東伝研究についての共同研究グループの研究会を継続実施した。研究グループによる研究例会は基本的に隔週金曜午後に京大人文研で定期開催し、年度内に13回開催することができた。例会では2015年以来収集してきた毛沢東伝に関するデータ、資料、様々な版本などを持ち寄って分析するとともに、毛沢東自身の著作についても、その藍本探索や版本間の異同比較による実態解明を進めた。
データの収集としては、6-7月に森川が、また7月、9-10月には石川がそれぞれイギリス、ドイツ、アメリカで現地調査、資料調査を進め、多くの関連資料を得ると同時に、研究の成果の一部を国際学会で紹介した。例えば、研究代表の石川は7月にドイツ・ハノーバーで開催された20世紀中国世界に関する国際ワークショップの招請を受けて、招待講演を行い、その後旧東ドイツのライプツィヒ、ドレスデンなどで、1960年代以降の毛沢東理解が如何なるものだったかについて、調査を行った。一方、毛沢東に関する研究が、中国共産党の関連研究部門でどれくらいまで許されているのかを把握すべく、中国の関係機関に対してヒアリングを行い、2017年度に実施する予定の研究対話への地ならしをすすめた。
このほか、毛沢東の初期イメージや伝記的情報に関する初歩的な研究成果の公表として、11月に『赤い星は如何にして昇ったか』を刊行し、好評を得た。このほか、京大人文研の所蔵する旧鱒澤彰夫氏所蔵の文化大革命期紅衛兵資料の整理を継続した。膨大で多種にわたる資料の整理にほぼ目途が立ち、デジタル化を前提としたデータベースの構築方針を制定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定よりもかなり早くに成果の部分的公開ができたことは、昨年の大きな進展であった。具体的に言えば、国際学会や外国語雑誌への寄稿によって、毛沢東研究に関する研究視座を国際学界にたいして、英語・中国語で発信することができている。また、毛沢東伝についての共同研究での中核的存在となる研究グループの例会も定期的に開催することができ、資料収集の成果や研究課題・問題意識を共有できたことも、予想以上の進捗である。また、文化大革命時期の毛沢東についても、世界でも有数のパンフレット・雑誌・冊子コレクションの整理がかなり進み、データベース化への道筋が見えてきた。
一方、中国での資料収集や研究状況の調査については、近年の中国でのメディア・学術活動への締め付けのゆえか、思うような収集と情報の交換ができなかった。2017年9月に予定されている訪中調査までには、この環境が改善されることを望む。

今後の研究の推進方策

研究成果の一部を先行して公表したとはいえ、今後の研究推進の課題がないわけではない。最も大きな課題は、初年度や二年度目に充分に実施できなかった中国での資料調査を、本格的に実施することである。そのために、中国共産党の党史専門機関や毛沢東ら党歴代指導者の伝記・著作を統括する部門と早くよりコンタクトをとり、本科研のメンバーによる北京訪問と学術交流が行われるよう、うながす交渉を始めている。先方よりまだ正式の回答は届いていないが、かりにそれら研究機関への訪問と研究情報の交換が行われれば、毛に関する核心的資料の多くへのアクセスに道が開けるであろう。
これまで集めた資料の分析にかんしては、中国共産党史を専門とする石川の作業だけでは不十分なので、研究分担者の協力はもちろんのこと、共同研究班を継続開催していくことにより、多元的な視野で毛沢東伝を見直していくことが必要となろう。これによって、本研究は党の歴史を中共は如何なる体制のもとでどのように描こうとしたのかという文脈に沿って、独自の人文学的な毛沢東伝探究へとつながっていくであろう。

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件) 図書 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 清末西江の「海賊」──「緝捕権」問題と貿易・航運2017

    • 著者名/発表者名
      村上衛
    • 雑誌名

      史林

      巻: 100-1 ページ: 106-140

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 欧州戦争と科学振興のジレンマ――中国における第一次世界大戦報 道とその思想的影響2017

    • 著者名/発表者名
      小野寺史郎
    • 雑誌名

      東洋史研究

      巻: 75-4 ページ: 109-131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「竈神と毛沢東像―戦争・大衆動員・民間信仰」2017

    • 著者名/発表者名
      丸田孝志
    • 雑誌名

      水羽信男編『アジアから考える 日本人が「アジアの世紀」を生きるために』

      巻: 有志舎 ページ: 192-211

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「毛沢東伝略」作者考――兼論莫斯科出版的幾種早期毛沢東伝記2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩
    • 雑誌名

      党的文献

      巻: 2 ページ: 101-108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『紅星照耀中国』各国版本考略(上)2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩
    • 雑誌名

      中共党史研究

      巻: 5 ページ: 102-111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『紅星照耀中国』各国版本考略(下)2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩
    • 雑誌名

      中共党史研究

      巻: 6 ページ: 105-117

  • [雑誌論文] 「大分岐」を越えて──K.ポメランツの議論をめぐって2016

    • 著者名/発表者名
      村上衛
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 949 ページ: 49-54, 64

  • [学会発表] 民主政治還是独裁政治:対五権憲法的両種解釈2016

    • 著者名/発表者名
      森川裕貫
    • 学会等名
      紀念孫中山誕辰150周年国際学術研討会
    • 発表場所
      中山市シェラトンホテル、広東省、中国
    • 年月日
      2016-11-15 – 2016-11-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Global History and Economic History of China2016

    • 著者名/発表者名
      Ei MURAKAMI
    • 学会等名
      Global History in Chile and Japan
    • 発表場所
      Pontificia Universidad de Chile(サンティアゴ・チリ)
    • 年月日
      2016-11-04 – 2016-11-04
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 中華人民共和国建国初期の民間信仰と「革命の伝説」2016

    • 著者名/発表者名
      丸田孝志
    • 学会等名
      第10回国際セミナー「現代中国と東アジアの新環境」
    • 発表場所
      山東大学、済南市、中国
    • 年月日
      2016-08-28 – 2016-08-28
    • 国際学会
  • [学会発表] 21世紀的東亜與歴史問題2016

    • 著者名/発表者名
      田中仁
    • 学会等名
      第10回国際セミナー「現代中国と東アジアの新環境」
    • 発表場所
      山東大学、済南市、中国
    • 年月日
      2016-08-27 – 2016-08-27
    • 国際学会
  • [学会発表] Mao: Unknown Images before the RED STAR OVER CHINA2016

    • 著者名/発表者名
      ISHIKAWA Yoshihiro
    • 学会等名
      International Workshop on "Beyond the Sinosphere. Modalities of Interwar Globalisation: Internationalism and Indigenization among East Asian Marxists, Christians, and Buddhists
    • 発表場所
      Schloss Herrenhausen, ハノーヴァー(ドイツ)
    • 年月日
      2016-07-15 – 2016-07-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] In Pursuit of Peace: Zhou Gengsheng’s Internationalism in the Interwar Period2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroki MORIKAWA
    • 学会等名
      AAS-in-Asia Kyoto 2016
    • 発表場所
      同志社大学今出川キャンパス、京都市
    • 年月日
      2016-06-25 – 2016-06-25
    • 国際学会
  • [学会発表] コミンテルンと中国共産党の革命運動――『全連邦共産党史小教程』の影響2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩
    • 学会等名
      「ロシア革命とソ連の世紀」研究会
    • 発表場所
      東京大学法文2号館
    • 年月日
      2016-06-18 – 2016-06-18
  • [学会発表] 『中国の赤い星』以前の毛沢東イメージ2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩
    • 学会等名
      公開ワークショップ「非文字資料が描く中国・台湾像」
    • 発表場所
      京都大学地域研究統合情報センター
    • 年月日
      2016-06-15 – 2016-06-15
  • [図書] 政論家的矜持――章士釗、張東ソン政治思想研究2017

    • 著者名/発表者名
      森川裕貫
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      社会科学文献出版社
  • [図書] 莎士比亜在中国 中国人的莎士比亜接受史2017

    • 著者名/発表者名
      瀬戸宏
    • 総ページ数
      378
    • 出版者
      広東人民出版社
  • [図書] 赤い星は如何にして昇ったか――知られざる毛沢東の初期イメージ2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      臨川書店
  • [図書] 陳独秀文集 第二巻2016

    • 著者名/発表者名
      石川禎浩、三好伸清
    • 総ページ数
      478
    • 出版者
      平凡社
  • [図書] 近現代中国における社会経済制度の再編2016

    • 著者名/発表者名
      村上衛
    • 総ページ数
      477
    • 出版者
      京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センター
  • [図書] 陳独秀文集 第一巻2016

    • 著者名/発表者名
      長堀祐造、小川利康、小野寺史郎、竹元規人
    • 総ページ数
      382
    • 出版者
      平凡社
  • [図書] 孫中山与”科学的時代”2016

    • 著者名/発表者名
      武上真理子
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      社会科学文献出版社
  • [備考] 京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センター 共同研究班「毛沢東に関する人文学的研究」

    • URL

      http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~rcmcc/group1.htm

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公開日: 2018-01-16  

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