研究課題/領域番号 |
15H03254
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 貴彦 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70291226)
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研究分担者 |
小野寺 拓也 昭和女子大学, 人間文化学部, 講師 (20708193)
安村 直己 青山学院大学, 文学部, 教授 (30239777)
大黒 俊二 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (50152096)
長谷川 まゆ帆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60192697)
松井 康浩 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (70219377)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エゴドキュメント / 言語論的転回 / 物語論的転回 |
研究実績の概要 |
本研究は、エゴ・ドキュメントを中心とした歴史研究の動向を、広く欧米の歴史学に内在しつつ検討することを課題としているが、具体的には、第一に、ヨーロッパ規模で展開している研究を把握するため、研究分担者の対象とする国・地域における研究方法・史料保存の状況を概観し、第二に、研究分担者の現地調査をともなう具体的な史料分析によって、エゴ・ドキュメント研究の実践をおこなっている。 本年度は、研究会を2度開催した〔東京、2回〕。第一回研究会(9月17日、東京大学駒場キャンパス)は、小野寺拓也と松井康浩が報告をおこない、前年の成果を確認しつつ、引き続き資料保存ならび研究状況などについて発表した。第2回研究会(3月4-5日、青山学院大学青山キャンパス)は、海外調査などを受けて、それぞれが対象とするエゴ・ドキュメントを用いた実践例を検討する研究会をおこなった。これは、翌年の公開シンポジウムについての準備会の意味を併せもった。 また長期休暇期間などを利用して、みずからの研究対象とするエゴ・ドキュメントについての海外調査をおこなった。長谷川は、イギリスのヒストリー・ワークショップ運動の集会に参加して、エゴ・ドキュメントをめぐる研究についての意見交換をおこなった。小野寺は、ドイツの「日記アルヒーフ」を訪問して史料調査をおこなった。松井は、研究対象とする回想録がいずれもモスクワの「民衆アーカイヴ文書センター」に所蔵されていたが、それが閉鎖された後に移管された「ロシア国立現代史文書館(RGANI)」を訪問した。同じく、大黒はイタリア、長谷川まゆ帆はフランス、安村直己はメキシコについて調査をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、このエゴ・ドキュメントを中心とした歴史研究の動向を、広く欧米の歴史学に内在しつつ検討することを課題としており、第一に、ヨーロッパ規模で展開している研究を把握するため、ヨーロッパのエゴ・ドキュメントに関する研究所(英・蘭)との交流活動を推進すると同時に、研究分担者の対象とする国・地域における研究・史料の状況を概観し、第二に、研究分担者の現地調査をともなう具体的な史料分析によって、エゴ・ドキュメント研究の実践をおこなうことにしている。ヨーロッパの研究者との交流は不十分であるが、各個人の史料調査による研究は、おおむね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、最終年度として研究成果の公表に取り組む。ひとつは、公開シンポジウムを開催することであり、具体的は日本西洋史学会の大会などでの発表を考えている。その内容は、エゴ・ドキュメントをめぐる研究方法や資料保存状況を概観した後に、具体的な史料の検討によって分析の手法を示すという二つの柱からなる構成を考えている。 ふたつ目は、研究成果を論文集としてまとめることである。刊行は、日本語でまとめることも考えているが、できれば、外国語〔英語〕による発表という形態も考えている。そのために海外の出版社との交渉をおこなうことにする。以上、論文集に向けての企画会議ならびに研究の総括という意味での全体研究会を一度開催することにする。
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