研究課題
基盤研究(B)
日本古代の大規模構造物の方位がどのように定められたのかを検討し、磁北や周極星・北極星による真北の測定でなく、太陽を用いた真東西の測定であったことを明らかにした。藤原京と平城京を比較すると、道路の直線性はかなりよく、ほとんど差がない。反面、藤原京の直角の振り出し精度は低く、両京の間で測量技術の飛躍があったことがうかがえる。大宝令の大尺・小尺は高麗尺と唐大尺に相当し、高麗尺は南朝尺の裏目に由来する可能性が高い。
考古学
日本古代の方位測定法については誤解が多く、方位磁針や北極星による測定とみる説も散見する。ところが、当時の磁北の偏角(真北からの振れ)は現在より大きく、北極星にあたる星も存在しなかった。太陽による真東西の測定と明示した本研究の意義は大きい。また、藤原京と平城京の間で技術的な飛躍があり、そこで測量技術は一定の水準に達していたことも判明した。このほか、由来をめぐり諸説があった高麗尺を南朝尺の裏目とした点も特筆される。