研究課題/領域番号 |
15H03266
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (60174207)
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研究分担者 |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
田中 克典 弘前大学, 人文学部, その他 (00450213)
三阪 一徳 徳島大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00714841)
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 教授 (80274679)
上條 信彦 弘前大学, 人文学部, 准教授 (90534040)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 農耕伝播 / 土器圧痕分析 / 土器製作技術 / 楊家圏遺跡 / プラント・オパール分析 / イネのDNA分析 / 石器使用痕分析 |
研究実績の概要 |
2015年6月に山東大学を訪問し、山東大学東方考古研究センターの欒豊実教授との間で共同研究の方法や方針を協議し、協定書を結んだ。 続いて9月には、宮本一夫、小畑弘己、上條信彦、三阪一徳などの分担研究者が山東大学東方考古研究センターを訪れ、それぞれの研究方法やその成果について発表するワークショップを設け、多数の山東大学の教師・学生の参加を得た。その後、山東大学が遼東半島旅順市王家屯遺跡で発掘調査した新石器時代末期の資料を各自が調査した。小畑は土器の圧痕分析を行い、山東龍山文化期にコメが遼東半島に達していたという宮本の学説を証明した。また、上條は石器の使用痕分析、三阪は土器の製作技術分析を行い、それぞれ新たな成果を得た。7月、10月には京都大学人文科学研究所所蔵の遼東半島文家屯貝塚の土器資料について、小畑が土器圧痕分析、三阪が土器製作技術の分析を行った。この結果は、同じように龍山文化期にイネが遼東半島に達していること、ならびに偏堡文化期に大きな土器製作技術の変化が追認された。 11月には山東半島楊家圏遺跡でボーリング調査を宮本・宇田津徹朗らで行い、従来発見していた水田面がさらに広がる可能性が明らかとなった。 2016年2月には山東大学の研究員を弘前大学にて招聘し、山東半島新石器時代趙家荘遺跡の炭化米のDNA分析を田中克彦とともに行い、これらの資料が熱帯ジャポニカであることを明らかにした。 2015年7月・2016年2月には共同研究会を九州大学で開催し、研究分担者全員が参加して、研究目的や研究計画の確認さらには調査成果の検討をおこない、共同研究者間での研究成果を共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りに山東大学や京都大学人文科学研究所で調査を行い、それぞれの研究目的に応じた研究成果が上がっている。特に東北アジア農耕化第2段階が証明できた点は大きな成果である。また、楊家圏遺跡のボーリング調査では、従来分かっていた水田面の範囲がさらに谷部全面に広がる可能性が明らかになり、重要な発見となった。さらに、山東新石器時代のコメのDNA分析を初めて行い、熱帯ジャポニカという初めての研究結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、土器圧痕分析、土器製作技術分析、石器使用痕分析などに関する山東龍山文化や岳石文化の資料調査を行う予定である。また、前二者の分析に関しては京都大学所蔵の遼東半島羊頭窪遺跡で行う予定である。さらに楊家圏遺跡でのボーリング調査を継続し、正確な水田面の範囲を特定したい。また、研究成果について学会発表を行いたい。
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