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2016 年度 実績報告書

地域基幹病院と連携した出産・産後ケアの支援ネットワーク構築のための人類学的試み

研究課題

研究課題/領域番号 15H03283
研究機関天理大学

研究代表者

安井 眞奈美  天理大学, 文学部, 教授 (40309513)

研究分担者 木村 正  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
松岡 悦子  奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10183948)
遠藤 誠之  大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30644794)
鳥巣 佳子  天理大学, 人間学部, 准教授 (80461086)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード出産・産後ケア / グリーフケア / 周産期医療 / 支援ネットワーク / 子どもの人権 / 女性産科医の働き方 / 助産師の働き方
研究実績の概要

2016年度の研究実績は、大きく2つに分けることができる。
①グリーフケアに関する連続シンポジウムの開催:2016年9月19・22・24日の3回にわたり、連続シンポジウム「大切な人を失った哀しみを抱いて―グリーフケアの可能性」を開催した。基調講演者として、ジャーナリストのヘレン・ブラウンさんをオーストラリアより招待し、仙台、東京、天理にて個別のテーマを設けてシンポジウムを開催した。この企画は、研究者だけではなく、一般の人々にむけて研究成果を発信する絶好の機会となった。各テーマは次の通り。シンポジウム①「子どもの死を考える」、シンポジウム②「グリーフケアを身近に」、シンポジウム③「出産の場におけるグリーフケアの可能性」。とくにシンポジウム③では、研究分担者、協力者がそろい、医療の現場でどのようなグリーフケアが可能かを議論することができた。
②医療従事者への聞き取りの継続:初年度に引き続き、医療従事者への個別の聞き取りを実施した。現代の産科医療の問題点や職場の課題、仕事のやりがいなどについて話を伺った。また、産科医の中で女性の占める割合が高くなる中、女性産科医が仕事と出産・育児をどのように両立していくかは、切実な課題となっている。そのため、女性産科医に向けて現状把握のためのアンケートを計画した。参考として、助産師にも同じテーマのアンケートを行うこととした。アンケートの質問事項については、研究チームにおいて議論を重ねた。
また研究代表者の安井眞奈美が、平成28年度公益社団法人日本助産師会近畿地区研修会「はぐくむ力(育む力)―きれめのない支援の実現を目指して」にて、「どんな産後がいいですか?日本と海外の違い」と題して基調講演を行い(2016年10月7日)、それを機に、「産後ケア」について助産師の方々の声を聴くことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした理由は、グリーフケアに関する連続シンポジウムを無事、開催することができ、また開催後、ただちに報告書作成の作業に取り組むなど、すみやかに計画を実施できたからである。また、医療従事者への聞き取りについては、女性産科医と助産師に向けてのアンケートの質問項目の内容を、何度も議論を重ねて練り上げ、アンケートの実施に至ることができた。なお、女性産科医へのアンケートは、大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講座が中心となって進めることができた。
グリーフケアに関する連続シンポジウムに発表、協力いただいた方々は数多いが、それぞれ連絡を取り合いながら、シンポジウムでの発表内容をまとめた。すでに出版に向けて編集作業を進めており、計画通りの進捗状況と言える。

今後の研究の推進方策

2017年度の研究計画は以下の通りであり、それらを推進するための方策を併せて示す。
①グリーフケアに関する連続シンポジウム報告書の作成:2016年9月に実施したグリーフケアに関する連続シンポジウムの報告書を作成し、一般向けの書籍として年度内に出版する。シンポジウムの発表者が多いため、編集協力者を依頼し、編集会議を重ね、連絡を密にとりながら作業を進めていく。なお報告書が完成したら、書評会を兼ねたフォーラムを開催し、研究者、医療従事者、一般の方々を対象として、さまざまな場でのグリーフケアの可能性について、改めてディスカッションを行う予定である。昨年の連続シンポジウムで基調講演を依頼したヘレン・ブラウンさんにも、何等かの形で参加できるよう調整を進めている。
②医療従事者、医療ソーシャルワーカーの方々への聞き取りの継続と成果の分析:これまで継続してきた医療従事者、医療ソーシャルワーカーの方々への聞き取りを引き続き実施し、現状について分析を進める。途中経過も含めて、研究会を開催し、現状分析と課題の抽出に務める。それらを通じて、これからの産科医療の望ましいあり方について議論し、いくつかの方向性を提示していく。
③女性産科医の働き方についてのアンケートの集計と分析:大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講座の協力を得て、RedCapを用い、女性産科医の働き方についてのアンケートを実施した。2017年度はアンケートの分析と考察を行う。
④日本の産科医療の比較の対象として、海外の現状を把握する:日本の産科医療の特徴および現状を把握するために、昨年に引き続き、海外との比較を行う。この点については、2017年度に研究代表者の安井眞奈美がニュージーランドへ視察に行き、助産教育の確立されている現状を把握、現地の助産師にも聞き取りを実施する予定である。

  • 研究成果

    (26件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 民間信仰にみる身体の図像化・造形化―妖怪画の背景を求めて2017

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 雑誌名

      天理大学考古学・民俗学研究室編 『モノと図像から探る怪異・妖怪の東西』

      巻: 3 ページ: 111-138

  • [雑誌論文] 母系社会・パラオにおけるマイノリティは誰か?2017

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 雑誌名

      風間計博編 『交錯と共生の人類学―オセアニアにおけるマイノリティと主流社会』

      巻: 0 ページ: 165-192

  • [雑誌論文] コラム 産後の過ごし方―ー過去のお産、異文化のお産より2017

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 雑誌名

      子どもを産む・家族をつくる人類学-オールターナティブへの誘い

      巻: 0 ページ: 87-94

  • [雑誌論文] The Participation of Youth and the Transmission of Arts at the 11th Festival of Pacific Arts, Solomon Islands 20122016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 雑誌名

      The Festival of Pacific Arts: Celebrating over 40 years of Cultural Heritage (ed. Karen Stevenson with Katerina Teaiwa

      巻: 0 ページ: 79-87

    • 国際共著
  • [雑誌論文] Mothers' attitudes in Japan regarding cervical cancer screening correlates with intention to recommend cervical cancer screening for daughters.2016

    • 著者名/発表者名
      木村正
    • 雑誌名

      The International Journal of Clinical Oncology

      巻: 21(5) ページ: 962-968

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] コラム 産後うつの発見2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 雑誌名

      産み育てと助産の歴史ー近代化の200年をふり返る

      巻: 0 ページ: 238-243

  • [雑誌論文] 人生、ブラボー!―家族の新しいつながり2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 雑誌名

      ワールドシネマ・スタディーズ-世界の「いま」を映画から考えよう

      巻: 0 ページ: 187-194

  • [雑誌論文] リスクマネジメント2016

    • 著者名/発表者名
      鳥巣佳子
    • 雑誌名

      介護・福祉の支援人材養成開発論

      巻: 0 ページ: 34-39

  • [学会発表] 女性の望むマタニティケア:日本と海外との比較2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 学会等名
      地域包括ケア時代における継続的マタニティケア:女性中心のケアの実現に向けて
    • 発表場所
      TKP東京駅前会議室
    • 年月日
      2016-12-17
  • [学会発表] Back to the Basics of Birth: Evidence, culture, and discovery.2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 学会等名
      115th AAA Annual Meeting.
    • 発表場所
      Minneapolis, MN
    • 年月日
      2016-11-16 – 2016-11-20
    • 国際学会
  • [学会発表] 胎児治療最前線2016

    • 著者名/発表者名
      遠藤誠之
    • 学会等名
      日本臨床麻酔学会 第36回大会
    • 発表場所
      高知
    • 年月日
      2016-11-03 – 2016-11-05
    • 招待講演
  • [学会発表] Clinic Birth as Reflection of Japanese Values.2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 学会等名
      Birthing in Contemporary Japan.
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2016-10-16
    • 国際学会
  • [学会発表] 分娩体位の再考-文化人類学の視点から2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 学会等名
      第57回母性衛生学会
    • 発表場所
      品川プリンスホテル
    • 年月日
      2016-10-14
  • [学会発表] 基調講演「どんな産後がいいですか?日本と海外の違い」2016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 学会等名
      平成28年度公益社団法人日本助産師会近畿地区研修会in 大阪「はぐくむ力(育む力)―きれめのない支援の実現を目指して」
    • 発表場所
      ホテルアウィーナ大阪
    • 年月日
      2016-10-07
    • 招待講演
  • [学会発表] Prenatal Diagnosis of Airway Obstruction Improves Perinatal Outcomes.2016

    • 著者名/発表者名
      遠藤誠之
    • 学会等名
      12th Asia Pacific Congress in Maternal Fetal Medicine
    • 発表場所
      Malaysia
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-09
    • 国際学会
  • [学会発表] 連続シンポジウム③ 「出産の場におけるグリーフケアの可能性」趣旨説明2016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 学会等名
      「大切な人を失った哀しみを抱いて―グリーフケアの可能性」(平成28年度科学研究費補助金助成事業)
    • 発表場所
      天理大学杣之内キャンパス
    • 年月日
      2016-09-24
  • [学会発表] 連続シンポジウム③「出産の場におけるグリーフケアの可能性」産科医療の現場より2016

    • 著者名/発表者名
      遠藤誠之
    • 学会等名
      「大切な人を失った哀しみを抱いて―グリーフケアの可能性」(平成28年度科学研究費補助金助成事業)
    • 発表場所
      天理大学杣之内キャンパス
    • 年月日
      2016-09-24
  • [学会発表] 連続シンポジウム② 「グリーフケアを身近に」趣旨説明2016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 学会等名
      「大切な人を失った哀しみを抱いて―グリーフケアの可能性」(平成28年度科学研究費補助金助成事業)
    • 発表場所
      東京天理ビル9階ホール
    • 年月日
      2016-09-22
  • [学会発表] 連続シンポジウム①「子どもの死を考える」趣旨説明2016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 学会等名
      「大切な人を失った哀しみを抱いて―グリーフケアの可能性」(平成28年度科学研究費補助金助成事業)
    • 発表場所
      東北大学片平さくらホール
    • 年月日
      2016-09-19
  • [学会発表] 文化人類学から見たアジアの出産2016

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 学会等名
      埼玉医科大学学術集会
    • 発表場所
      埼玉医科大学
    • 年月日
      2016-08-22
  • [学会発表] 「狙う妖怪、守る身体」2016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 学会等名
      第5回天理大学考古学・民俗学フォーラム「モノと図像から探る怪異・妖怪の東西」
    • 発表場所
      東京天理ビル9階ホール
    • 年月日
      2016-06-18
  • [学会発表] 「妖怪が狙う身体部位」2016

    • 著者名/発表者名
      安井眞奈美
    • 学会等名
      第28回人間文化研究機構シンポジウム「妖怪空間―でそうな場所」 、人間文化研究機構
    • 発表場所
      有楽町朝日ホール有楽町マリオン11階
    • 年月日
      2016-06-11
    • 招待講演
  • [学会発表] 産科医療へのアクセス体制―プライマリケア:不妊・避妊・中絶と高次医療2016

    • 著者名/発表者名
      木村正
    • 学会等名
      岐阜産科婦人科学会・岐阜県産婦人科医会合同学術研修会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2016-06-05
  • [学会発表] 特別講演 産婦人科へのアクセスと医療体制―不妊・避妊・中絶などのプライマリケアをふくめて2016

    • 著者名/発表者名
      木村正
    • 学会等名
      第60回和歌山産婦人科医会
    • 発表場所
      和歌山
    • 年月日
      2016-05-29
  • [図書] 子どもを産む・家族をつくる人類学-オールターナティブへの誘い2017

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 総ページ数
      309
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 産婦人科へつなぐ 日常診療での女性のミカタ2016

    • 著者名/発表者名
      木村正
    • 総ページ数
      228
    • 出版者
      メディカルレビュー社

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公開日: 2018-01-16  

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