研究課題/領域番号 |
15H03283
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
安井 眞奈美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40309513)
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研究分担者 |
松岡 悦子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10183948)
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
遠藤 誠之 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (30644794)
鳥巣 佳子 天理大学, 人間学部, 准教授 (80461086)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 出産・産後ケア / グリーフケア / 周産期医療 / 支援ネットワーク / 子どもの人権 / 女性産科医の働き方 / 妊娠・出産・産後の情報 / 人類学 |
研究実績の概要 |
研究実績の概要(800字) 2017年度の研究実績は大きく3つ挙げられる。まず本科研の研究グループによるグリーフケアの連続シンポジウム(2017年度実施)の報告を、『グリーフケアを身近に――大切な子どもを失った哀しみを抱いて』(勉誠出版)と題した一般向けの書籍として刊行したことである。科研代表者の安井眞奈美が編者となり、研究分担者の遠藤誠之、松岡悦子、鳥巣佳子、研究協力者の鈴木由利子、波平恵美子、中本剛二、島薗進、鈴木岩弓、李仁子そして海外からオーストラリア在住のジャーナリスト、ヘレン・ブラウン(Helen Brown)ら諸氏が執筆している。本書は、新聞や書評でも取り上げられ、また編者の安井がグリーフケアについての取材を受けるなど、をさまざまなメディアを通して科研の研究成果紹介することができた。 2つ目の実績は、韓国にて国際シンポジウムを開催したことである。2017年11月に、本科研の研究グループと韓国全南大学校日本文化研究センターの共催により、国際シンポジウム「現代の日本社会における誕生と死」を全南大学校日本文化研究センターで開催することができた。安井眞奈美が基調講演を行い、遠藤誠之、松岡悦子、鈴木由利子、中本剛二が発表した。韓国の研究者とともに、誕生と死という大きな研究の枠組みの中で、議論を深めることができた。また韓国でのグリーフケアに対する関心の高さを知ることができ、引き続き国際研究をともに進めていくこととなった。 3つ目の実績は、韓国での国際シンポジウムの成果をもとに、2018年2月に韓国語による書籍『日本文化の現場と現在』を「全南大学校日本文化研究所叢書5」として刊行したことである。科研の研究成果の一部を韓国語で刊行することによって、より国際的な研究の進展が期待できると言えるだろう。 また遠藤誠之と岡田愛子が、女性産科医の働き方について研究成果の一部を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2017年度には、「研究実績の概要」で記した通り、大きく3つの研究実績を上げることができた。日本語での一般向けの書籍『グリーフケアを身近に――大切な子どもを失った哀しみを抱いて』(勉誠出版)と、韓国語での書籍『日本文化の現場と現在』(全南大学校日本文化研究所叢書5)を出版できたこと、さらに韓国で国際シンポジウム「現代の日本社会における誕生と死」を開催したことなどにより、本研究課題の進捗状況は当初の計画以上に進んだと言える。とくに韓国での国際シンポジウムの研究成果を年度内に刊行できたことは幸いであり、これにより韓国でさらに国際研究を進めていくことが可能となった。この他、安井眞奈美、鈴木由利子、波平恵美子らは国内外での学会、講演会などでの発表、講演を行い、科研の研究成果を積極的に公表した。 また研究分担者の遠藤誠之(大阪大学医学部)は、医療機関におけるグリーフケアのあり方を日々の実践を通して研究するため、大阪大学医学部附属病院産婦人科にグリーフケア研究会を立ち上げた。
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今後の研究の推進方策 |
①出産の場におけるグリーフケアのシンポジウムを開催 科研の研究グループによるグリーフケアの連続シンポジウム報告書『グリーフケアを身近に――大切な子どもを失った哀しみを抱いて』(勉誠出版)をもとに、再度、医療従事者の方々を対象にしたワークショップを開催する。産科医療の場でのグリーフケアの可能性と現状、問題点について医療従事者の方々とともに議論する。その際、上智大学グリーフケア研究所所長の島薗進氏にもご協力いただき、科研のメンバーとともに、グリーフケア全体についてもディスカッションを深めたい。 ②研究成果の学会等での発表 2017年11月に韓国全南大学校日本文化研究センターとの共催によって実施した国際シンポジウム「現代の日本社会における誕生と死」を受けて、引き続き研究成果を韓国もしくは国内にて発表する予定である。 ③科研の研究成果を踏まえ、一般の方々にむけての妊娠・出産・産後に関する情報をウェブページに掲載。これまでの科研の研究成果を受けて、最終年度の2018年度は、科研の分担者と協力者それぞれで進めてきた研究成果を持ち寄り、本研究課題である「地域基幹病院と連携した出産・産後ケアの支援ネットワーク構築のための人類学的試み」というテーマについてディスカッションを進めていく。その成果を公開するとともに、一般の方々に向けた、妊娠・出産・産後に関する必要かつ有益な情報を提供するためのウェブページの作成を行う。これをもって、本科研の研究成果を研究レベルと一般レベルの両方のレベルにおいて発表していく。 ④本研究の課題「地域基幹病院と連携した出産・産後ケアの支援ネットワーク構築」に向けてのモデルの立ち上げ これまでの研究成果を踏まえて議論を進める。そのために、最終年にはとりまとめの打ち合わせを何度か行う予定である。
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