研究課題/領域番号 |
15H03284
|
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
大森 康宏 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (00111089)
|
研究分担者 |
久保 正敏 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (20026355)
園田 直子 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (50236155)
村尾 静二 総合研究大学院大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (90452052)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | メディア / アーカイブズ / 映像人類学 / 保存科学 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、20世紀にデジタル化された映像の制作と保存(アーカイブズ化)の実態を、主として海外の主な映像研究所やアーカイブズを対象に調査した。日本文化人類学会、国立民族学博物館所蔵の映像資料については資料整理にとどめ、アーカイブズ・データベースの基本設計はその方向性が確定したところで試作することとした。海外調査は、ドイツ、オーストリア、フランスで充実した調査を実施できたが、アメリカ、イギリス、オランダなどはテロ事件などの関係で、情報提供はあったものの、十分な調査に至らなかった。各研究分担者の実績は以下のとおりである。 久保は、データベースの基本設計のためのソフト開発を推進した。映像作品自体の情報、編集に関わる記述、保存媒体の関係記述、映像利用関係を整理しデータ構造モデルを提案した。その有効性を確認のため、デジタル化したものに実験的に適用してモデルの有効性を示した。園田は、海外の映像研究所アーカイブズとの間で調査に関する交渉および調整を担当し、大森、村尾の現地調査をスムーズに進行させた。 村尾は、大森と協力してドイツ、オーストリア、フランスにて海外調査を実施し、映像制作所などを訪れた。また、映画祭に参加し、アーカイブズ化に向けた制作について調査した。その結果、著作権の自由化という問題が大きな課題であることが明らかとなり、アーカイブズ機関側は制作者と映像利用者の仲介にどこまで関与するのか、管理上の問題を国別または研究所ごとにまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヨーロッパ各国のデジタル映像制作の動向について、着実に調査を実施した。しかし、テロ事件などによる交通障害によって、調査地を変更せざるをえなくなったため、ドイツ、イギリスのアーカイブズの情報は不足していると考えられる。一方、アーカイブズの新しい構築に向けてのソフト開発の検討を進めている。今後実験的に現実のアーカイブズに作品を当てはめてその利便性などを検証する必要があり、平成28年度中にその実験に着手する予定。
|
今後の研究の推進方策 |
国立民族学博物館所蔵の映像素材から作品のシーン・インデックス作成、海外調査した事例と比較しつつシナリオのデータベース化やその技術研究開発、ソフトウェアについての適用可能性、およびシソーラス形成の可能性、これらの検討を進め、その一部について試行実験を行う。以上に加えて、海外でのデジタル映像とそれらの著作権の管理活用手法を分析・研究する。
|