研究課題/領域番号 |
15H03300
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保 大作 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (90384726)
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研究分担者 |
中東 正文 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00237372)
岩原 紳作 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (20107486)
松中 学 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (20518039)
松井 秀征 立教大学, 法学部, 教授 (30282536)
久保田 安彦 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (30298096)
京 俊介 中京大学, 法学部, 准教授 (80609222)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 民事法学 / 政治過程論 |
研究実績の概要 |
平成29年度においては、昭和56年商法改正及び平成2年商法改正当時の法務省における立案担当者に対するインタビューを計2回実施した。具体的には、既に公表されている審議経過等の資料の分析を行い、それを踏まえて、当時の社会情勢のうちどのようなものが影響を与えたのか、法制審における検討の進め方、アジェンダの設定などについて聞き取りを行った。その内容について記録を整理し、分析を行った。インタビューの内容には、重要ではあるがセンシティブな内容も含まれている。そのため、公表は、インタビュー先の意向も踏まえて方法などを慎重に検討する必要があると判断したため、現段階では行っていない。 他方、昭和56年・平成2年商法改正以外の商法・会社法改正についても、各研究分担者の興味・関心に従い、研究を行った。そのうち、下記9の論文・学会報告1・2では、昭和49年商法改正から平成26年会社法改正に至るガバナンスを中心とした改正を次の3つに区分して、与党政治家の関与のメカニズムが推移していったことを明らかにした。すなわち、(1)昭和49年商法改正から平成9年より前の改正までは、サリエンスが高まったことへの単純な反応であった、(2)初の議員立法が実現した平成9年改正と法制審議会令の改正を経て、平成17年改正までは与党の政治家が経済団体と協調しつつ積極的に会社法制に関わった、(3)平成26年改正では与党が積極的に関与しているが、株主利益の追求を目指している点で変化しつつある可能性があるというものである。また、学会報告3では、狭い意味での立法ではないが、日英のスチュワードシップ・コードの比較研究に対して、制定過程の差異からコメントを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昭和56年商法改正当時の審議会参加者のうち学界からの参加者であったインタビュー対象者が逝去し、代替者の選定と質問事項の検討に時間を要したことから、本来平成29年度中に実施する予定であったインタビューの一部が実施できなかったため。代替のインタビュー先を含め、残るインタビューは平成30年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施できなかったものも含めたインタビューを実施する。特に、これまでにインタビューを行った相手とは異なる立場・利害で改正に関与していた当事者に聞き取りを行うことで、より多角的な視点から昭和56年・平成2年商法改正における各アクターの動向とその作用、その後の改正への影響についての分析を進める。また、本年度は本研究の最終年度になるため、これまでの成果の公表についても、その方法・時期などを含めて積極的に検討した上で、進めていく。インタビュー内容の公表については、重要性を踏まえた上で、適切な公表範囲ならびに時期および方法を検討する。
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