研究課題/領域番号 |
15H03303
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤本 亮 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80300474)
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研究分担者 |
石田 京子 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 准教授 (10453987)
武士俣 敦 福岡大学, 法学部, 教授 (30190169)
宮澤 節生 龍谷大学, 矯正・保護総合センター, 研究員 (60001830)
上石 圭一 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (80313485)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 法学教育・法曹論・法教育 / 弁護士研究 / 法社会学 |
研究実績の概要 |
H28年2月に実施した67期弁護士第1回郵送調査の結果概要について、分析を進め、2016年度日本法社会学会学術大会とLaw and Society Association 2016 Annual Meetingにおいて報告した。これらの報告をもとに「第67期弁護士第1回郵送調査の概要─記述統計の提示─」と題する共著報告書を名大法政論集268号に掲載した。法学部系学部・学科在籍経験のない者が減少し、人材の多様性が後退している。法科大学院での臨床科目履修者の方が、法科大学院実務教育についても司法修習についても高い評価をする傾向が確認された。司法修習修了後の最初の職場への登録時期が、62期と比較すると遅くなっている。ただ、12月の一斉登録日に登録できていなくとも3ヶ月以内には9割以上の者が登録している。登録事務所の種別では、「勤務弁護士」が占める割合は62期と大差ない一方で、インハウスの増加が観察された。予備試験組はほとんどが規模の大きい事務所に勤務弁護士として就職している。インハウスや独立採算弁護士については「時間のゆとり」が職場選択理由として上げられていた。62期と比較して新人弁護士における構造的な分化の進行がみられる。法科大学院在学中から司法試験合格、修習に至るまで、生計の負担は「借金」と「親の収入」による者が多い。弁護士になってからの所得は62期弁護士と比べて低下傾向にある。大半の者が将来に対する不安があり、十分な収入を得ているとは思っていないが、全般的な職業満足度は高いままである。62期調査で回答の男女差が有意に認められたキャリアを積むうえでの「経済的負担」「育児負担」「理想とするワークライフバランス」「現実のワークライフバランスの問題点」については、男女差は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に収集した67期弁護士第1回郵送調査の分析は順調に推移し、記述統計レベルの学会報告は国内学会と国際学会で発表し、論文も出版した。2017(H29)年度の学会報告と論文出版に向けての多変量解析を分担して行っている。また、67期弁護士に対する面接調査は2017(H29)年度に実施のための準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
第1四半期に、前年度の調査結果を踏まえ、「67期郵送調査の多変量分析」について、日本法社会学会にて報告をする(全員が担当する。国内旅費が用いられる)。また「弁護士追跡調査の意義」についてLSAにおいて報告する(藤本が担当する。海外旅費が用いられる)。また第1四半期から第2四半期にかけては、上記報告の原稿化を進める(全員)とともに、67期の面接調査を進める。第3四半期においては、62期7年後調査のウェブ調査の設計を行う。(宮澤が主として担当し、研究分担者も適宜実施担当する。国内旅費が用いられる)その後これまでの研究成果についての第1回シンポジウムの準備を進め、3月にシンポジウムを開催し、本研究課題の中間報告を行う。年間を通じて9回の研究会を予定する(国内旅費、シンポジウム開催費が用いられる)。
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